研究分担者 |
大熊 幹明 (大熊 幹章) 東京大学, 農学部, 教授 (80011906)
鈴木 滋彦 静岡大学, 農学部, 助手 (40115449)
滝 欽二 静岡大学, 農学部, 助手 (00022252)
吉田 弥明 静岡大学, 農学部, 助教授 (10126790)
堀木 清之助 名古屋油化株式会社, 社長
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研究概要 |
本研究は軽量で水遮断性, 寸度安定性, 断熱性などにすぐれ, かつ従来のこれと同程度の比重のボードでは保有し得ない強度性能を備えた. 新素材ともいうべきボードの製造法と, その利用開発を目途して実施したものである. ここで扱う発泡軽量ボードは木質ファイバー, 木材小片等を原料にするが, 揮発性物質を内包したマクロカプセル型の特殊発泡剤を分散させた結合剤により, ファイバー, 削片間の結合と同時にその空隙が無数の微小な独立発泡構造体で充填され, 上記のような特性が発揮される. このため従来のファイバーボード(FB), パーテイクルボード(PB)の範ちゅうに入らない軽量低比重で形状保持機能にすぐれたボード材料が得られる. まず, 各種モノマー, 分散媒体, 溶媒を使用して乳化重合を行ない, 得られる発泡剤の収率, 発泡性をテストし, 一応本システムに導入可能な発泡剤を得た. 次にこの発泡剤をUF系結合剤に分散し, 通常の製造プロセスで発泡FB, 発泡PBを製造し, 最適熱圧締条件を確立した. これらの基礎試験により得た発泡ボードについて各種の材質試験を適用し, 通常のボードでは保持し得ない性能を具備することを明らかにした. 水遮断性と寸度安定性に加えて, 形状保持機能が格段にすぐれており, 独立発泡構造体の充填効果によって各種のインシュレーション性能に富み, 一般建築用ボード材料, 間仕切用, 床用, 家具用などへの用途適性にすぐれていることが認められた. 本研究ではFBとPBの両者について検討を加えて来たが, 微細なファイバーからつくられるFBシステムの方がボード内の空隙が少ないため, 発泡剤の添加効果がより顕著であった. また, 発泡剤合成における収率を高めコストダウンがはかれれば, 実際の生産工場への導入に当って技術的な支障がないので, 実用化が大いに期待できよう.
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