研究概要 |
医学生物学や臨床検査などの分野で螢光顕微鏡の重要性が次第に増してきているが, 画像の記録や処理は主として写真で行われているため, 処理の即時性に問題がある. この解決方法として大型電子計算機や〓ニコンによる画像処理がある. そこで本研究では最近普及の目ざましいパーソナルコンピューター(パソコン)を用いて簡便で安価な螢光顕微鏡画像処理システムを試作し, 生標本を用いてその有効性について検討を加えた. 本システムは汎用16ビットパソコン, CCDTVカメラ, 広帯成映像信号増巾器, 高速カラー画像取込装置, 20MBハードディスク, マウス, プリンタなどから構成されている. なお高速画像取込装置は1画面のカラー画像を60分の1秒で取り込み, 256×256画系のRGB各6ビットのデータに変換するものである. なお画像処理用ソフトウェアに関してはメニュー表示やファイル管理サブルーチンは機械語でそれぞれ作成し, 対話方式による操作性の向上と高速処理を図っている. また特に微弱な螢光像の取り込みに関しては, 広帯成映像信号増巾器でTVカメラからの映像信号を増巾し, 同じ部位の複数の画像を加算平均する事でS/N比を上げ, 濃度変換によって比較的濃度差の小さい像を抽出する手法を本システムに付加した. そしてこの試作したシステムを用いて, コイ網膜伸〓標本のドーパミンニューロンの組織螢光像, ガラス微小電極を用いた細胞内螢光色〓注入法による培養神経細胞の螢光像およびモノクロナール抗体を用いたコイ網膜双極細胞の間接免疫螢光像について画像処理を行った. その結果, パソコンにより画像処理された螢光像は写真に比べて解像度は低下するものの, 写真像と同程度に識別可能な螢光像が短時間で得られ, 実験中に線分や面積が計測でき, 各種の螢光像に関するデータベースが作成可能な事より, 本システムが螢光顕微鏡画像処理に非常に有効である事が確認された.
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