研究概要 |
^<32>Piによる(Na^++K^+)-ATPaseのウワバイン感受性リン酸化反応を利用し, ウワバイン様物質を再現性良く簡便に測定する方法を開始することを目的とし, 本研究を行い次の成績を得た. 1)α(+).αアイソザイムの^<32>Piによるリン酸化の性質について検討し, ウワバイン非存在下でのリン酸化能が低いこと, 低濃度(10^<-8>M)のウワバインでリン酸化が促進されることから, 本測定系にはα(+)アイソザイムが適していることを明らかにした. 2)α(+)の^<32>Piによるリン酸化がK+により抑制されたので, 本測定系のサンプル前処理において, リン酸に加えK^+の除去が必要となった. 3)サンプルの前処理として, C_<18>-SepPaKカートリッジ, ゲルマンイオン交換フィルターの使用が有効であることが判明した. 4)α(+).αアイソザイムが, コンホメーション変化の点で異なっていることを明らかにした. 5)ラット血しょう中のウワバイン様物質の精製をHPLCで試みたが, 成功しなかった. この原因として, その阻害物質の量が正常ラットにおいては低いということが考えられた. 6)循環器系に障害をもつ病態動物モデルとしてビタミンB_1欠乏ラットを用い, 血しょう中阻害物質の量的変動を検討したが, 変化は認められなかった. 以上, 本測定で内因性ウワペイン様物質を測定することが可能となったが, 本測定法には〔^3H〕ウワバイン結合実験や(Na^++K^+)-ATPase活性の阻害による従来の測定法と比べそれ程簡便さは認められなかった. しかしながら, 従来の方法で得た因子の性質をより詳細に検討する場合, 本測定法は大変重要なものであると考えられる.
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