研究概要 |
1.天然STと同じ構造の合成STを固相にしたcompetitive ELISAの系を用い, STの検出感度を調べた結果, 従来広く用いられている乳のみマウス法とほぼ同じ感度の測定法を確立することができた. 2.STの短鎖アナログを種々合成し, 固相として利用できる短鎖アナログを探索した結果, STh(6-19)が利用できることがわかった. 3.STh(6-19)は, 天然STと同じ合成ST(1-19)に比べて, 固相として用いるにはマイクロタイタープレートへの吸着が悪かった. 4.STh(6-19)を牛血清アルブミンとconjugateして固相に用いると, STh(1-19)の場合とほぼ同じようにマイクロタイタープレートに吸着することがわかった. 5.患者分離株約500株について, 開発したcompetitive ELISAが利用できるかどうかを調べた結果, 乳のみマウスによる結果とよく一致した. 6.空港検疫所の協力を得て, 旅行者下痢患者を対象として開発したcompetitive ELISAによる野外株のST産生菌の検出を試み, 約200検体から, 約50株のST産生菌を同定することができた. 7.都内の病院の臨床検査室の協力を得て, 散発下痢症からの野外株を対象としたST産生株の検出を試みた結果, 約1200株から約180株のST産生菌を同定した. 8.STの3対のシスルフィド結合株式を明らかにした. 9.STの構造と活性相関を明らかにする目的で行った研究において, competitive ELISAにおける反応性が活性とよく相関していることがわかった.
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