研究概要 |
I)ニトロセルロース膜に採取した指紋から混合凝集反応法又は, ABC法を用いてABO式血液型判定を行なった. 1.混合凝集反応法で行なった結果, セロテープを用いる方法に比較し, 簡便に操作でき, 正確に型判定することが可能であった. 2.ABC法で行なった結果, 一次抗体を希釈して用いると, 非特異反応もほとんど認められず, 混合凝集反応法により特異性が高いと考えられる. II)高度に希釈した血液の型物質を, 効率良くニトロセルロースビーズに吸着させ, ABO式血液型を判定することが可能かどうか検討した. 希釈溶血した血液を吸着させたニトロセルロースビーズを用いて, 混合凝集反応法を解離試験法で型判定を行なったところ, 両方法ともに型判定可能であったが, 解離試験法の方が良好な結果が得られた. 次にこの方法を用いて, 吸着時間, サンプル量, 吸着温度などの諸条件を検討した. その結果, 希釈血液10mlを25℃, 1時間吸着させ, 解離試験法にて型判定を行なうのが最もよいと考えられ, この条件で検査すると10万倍に希釈した血液からでも正確な判定が可能であることが判明した. ニトロセルロースビーズにABH抗原を固定する本方法は, 抽出, 精製, 濃縮などの操作なく, 効率よく血液型物質を捕集でき, 解離試験法を組み合せれば, ごく微量の血液からでもABO式血液型判定可能であり, 解離試験中, 一部型物質が溶出して判定困難となることもなく, 鋭敏度も十分であると考えられる. これら, ニトロセルロース膜及びビーズを用いる新しい方法は, 今後実際面へ広く応用されるこが充分に期待されると思われる.
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