研究分担者 |
石毛 雅夫 ヤマサ醤油(株), 研究開発部, 研究員
杉 正人 ヤマサ醤油(株), 研究開発部, 主任
土持 英嗣 東京大学, 医学部(病), 助手 (90197715)
礒部 光章 (磯部 光章) 東京大学, 医学部(病), 助手 (80176263)
山沖 和秀 東京大学, 医学部(病), 助手 (70182409)
ISHIGE Masao YAMASA Research Institute
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研究概要 |
急性心筋梗塞の際に迅速に診断を行うと共に, 梗塞の大きさを的確にとらえ, また梗塞部心筋の病態を把握することは, 患者の治療方針の決定ばかりでなく, 予後の判定にも関連する臨床的に極めて重要な課題である. そこでわれわれは, 特異性に優れ, しかも培養系を用いることによって比較的安価に大量生産可能なモノクローナル抗体を導入することによって, 心筋に特異的な心筋ミオシンを指標に, 特異性と定量性に優れた新しい観点に立った急性心筋梗塞の診断法の開発を行い成功した. すなわち, 心筋ミオシンのサブユニットである重鎖と軽鎖が, 虚血による心筋障害時に示す異なった特性に注目し, 重鎖に対する抗体を用いた特異性の高い心筋梗塞の画像診断を, そして軽鎖に対する抗体を用いた血中微量測定法を確立し, 心筋梗塞を生化学的に診断する方法を開発した. (1)抗心筋ミオシン重鎖抗体を用いた急性心筋梗塞の画像診断法については, 臨床導入に備えて, 異種蛋白であるマウスハイブリドーマの産生するIgGをFab分画にし,アイソトープとして半減期が短く, γシンチカメラにとらえやすい^<111>Inを選び, 抗体蛋白に標識する方法として注射アンプル内で標識可能なDTPAを介する方法を確立した. このような方法により, きわめて特異性と感受性が高く, さらには定量性にも優れた心筋梗塞の画像が得られた. そしてこのような目的でモノクローナル抗体HMC50を生体内放射線診断薬として大量生産する体制を整えた. (2)生化学的診断法としての, 血清心筋ミオシン軽鎖の測定法についてはすでにラジオイムノアッセイ法を確立したが, 今回2つのモノクローナル抗体(HMC508, 544)を用いたイノムメトリックアッセイ法を開発し, キット化に成功した. 現在全国40施設で本法の臨床的有用性を治験中であり, 昭和63年度中には急性心筋梗塞の診断薬として申請し, 一般臨床に導入する予定である.
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