研究分担者 |
高田 泰治 愛媛大学, 医学部附属病院(元), 講師 (20127898)
西村 一孝 愛媛大学, 医学部附属病院(元), 講師 (70036482)
住元 巧 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (10187809)
村上 英紀 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (90110832)
日和田 邦男 愛媛大学, 医学部, 助教授 (00108391)
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研究概要 |
レニン・アンジオテンシン系は生体における血圧と体液電解質の重要な調節系である. 最近開発されたアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は本態性高血圧患者においても単独投与の成績で65〜70%の患者に降圧が認められ, 本態性高血圧患者の血圧上昇は主にレニン・アンジオテンシン系の亢進状態によっている可能性が推定される. しかし, ACEは降圧薬のカリクレイン・キニン系にも関与しており, カリクレイン・キニン系が降圧にどの程度関係しているか不明である. 従ってレニン系のみを抑制するレニン阻害剤の開発は治療薬としてのみならず, レニン・アンジオテンシン系の高血圧維持機構を解明する上で, 重要な研究手段を提供することになる. 私達は最近のレニン酵素の研究成果をふまえて, ヒトレニンに対し, 酵素及び種属特異性の高い阻害剤の開発研究を進めてきている. 既に私達はスタチンを含むジペプチドあるいはトリペプチドの中でヒトレニンに対して阻害定数が10^<-9>Mと強力ないくつかの化合物を合成した. その中で2つの有力な化合物ES-1005(binaphthyl-methyl-acetyl-His-Sta-Leu-lysinol)とES-6864(morphorinocarbonyl-naphthylmethylpropionyl-thiazoly-alanyl-cyclostatine-morohorynoethylamide)の2つの合成に成功した. ES-1005は水に対する溶解性は高かったが, 内服時の吸収性に問題があり, 一方, ES-66864はES-1005に比較すればやや難溶性ではあるが, 吸収は比較的よいことが確認できた. ES-6864をマーモゼットに内服させると, 用容依存性にPARを阻害し, 血圧の下降を認めた. ES-1005とES-6864のヒトレニンとヒトレニン基質反応系におけるKi値はそれぞれ2.4×10^<-9>Mと7.3×10^<-9>Mであり, 両者とも拮抗的阻害様式を示した. ES-1005は10^<-5>M濃度でカテプシンDやペプシンに軽度の阻害作用を示したが, ES-6864は全く阻害作用は認められなかった. 現在ES-6864の毒性などについて研究中である.
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