研究分担者 |
加藤 二久 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (70095107)
桑原 雄二 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (00114752)
渋谷 均 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (10014292)
堀内 淳一 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (90013870)
KATOH Hisatsugu Tokyo Medical & Dental University Assistant
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研究概要 |
末梢リンパ球の染色体は放射線に高感受性であり, かつ染色体に生じた異常は明確な線量効果関係を示す. 今回は電子線・中性子線・陽子線などの線量分布の作成に染色体分析が役立つか否かを研究することを目的とする. (1)水槽中の種々の深さにてプラスチック試験官中の末梢リンパ球に14MeV電子線を照射した. 物理学的線量分布と染色体異常(二動原体染色体および環染色体)頻度で推定した線量分布との間には僅かながら差の存在が認められた. さらに, 血液中にヨード系造影剤を加えた状態で照射すると染色体異常頻度の上昇が認められた. 電子線の吸収は電子密度と原子番号が関係し, 電子線治療における骨組織の受ける線量が高くなることを説明しうる. (2)6MeV中性子線についての線量線量効果関係では^<60>Co・δ線に比べ, 染色体異常の生成頻度は高く, 低線量域でのRBEの増加が示された. また, linear quadratic modelにて表すとlinear componentが高いことが示された. 一方, 水槽中における線量分布を調べると深部方向では物理的線量分布とほぼ一致したが, 照射野の周辺部においてはRBEが著明に高まり, 治療後における晩期障害の発生が低LET放射線の場合より高まる可能性が示唆され, 中性子線治療に際して考慮されるべき点の1つであろう. (3)70MeV陽子線の照射による染色体異常生成の線量効果関係はmodulated beamのどのレベルに血液を置くかにより若干変化が認められた. アクリルのファントーム中における線量分布でみるとmodulated beamにおいても, 入射部に近いたところとピークに近いところではRBEにやく倍の差が生じることが判明した. 以上種々の放射線治療の照射野設定に際し, 末梢リンパ球の染色体分布分析を生物学的量計として用いることにより若干の知見が得られた.
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