研究概要 |
人工呼吸下に希望する換気状況を得, その維持を目的として換気レベル自動制御装置(CO_2コントローラ)を開発した. 開発器は, 終末呼気炭酸ガス(ETCO_2)又はPaCO_2を入力信号とし, A/D・D/Aコンバータを用いてフィードバック系により, V_Tを自動的に制御して希望する換気レベルを得る. 又, コントローラはV_Tの制御に関して, 比例動作と積分動作の2方式を有している. 本研究では換気レベルの自動制御を臨床応用する為に, 以下の3つの検討を行った. a)制御方式の違いが換気レベルの調節に及ぼす影響について, b)入力信号の違いが換気レベルの調節に及ぼす影響について, c)高炭酸血症の是正に対するCO_2コントローラの応用, についての結果を以下に示す. 1.比例制御と積分制御の2方式を比較したところ, 過渡特性におけるV_Tや気道内圧などの推移により, 積分動作を用いてETCO_2を制御した方が効率が高い自動制御系を得る事が示唆された. 2.入力記号にPaCO_2を用いても換気レベルの自動制御を行うことが可能であり(測定時のtime lagは問題とならない), その際の至的SCV(換気量変動速度)はETCO_2を入力信号にした時と同じであった. 3.低いSCVによりCO_2コントローラを作動すると, 胸腔内圧の変動並びにカテコールアミンの減少の程度が夫々小さいので, 循環動態の失調を来たす事なく高炭酸血症を安全に是正し得た. 4.以上の結果より, 換気レベル自動制御ではSCVの設定が最重要でありSCVに注意するならば, 臨床応用は可能と思われた.
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