研究概要 |
1.Streptococcus pyogenes Svの全菌体からMoskowitz法によって抽出したリポタイコ酸(LTA)のPropionibacterium acnesで前処置したCD-1マウスに対する腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor,TNF)誘導活性の発現の諸条件を検討した. 2.S.pyogenes SvはTTY培地(Trypticase,TryptoseYeast extract)に37°C, 8時間静置培養が良い結果を得た. 3.S.pyogenesLTAの抽出は95%フェノールー水, 1:1で室温で抽出し, Sepharose6Bカラムでゲル濾過し, グリセロール(または糖)とリンを指標としてプールしたLTA画分をDNase,RNase,protease処理して精製した. またフッ酸でLTAのホスホジエテスル結合を切断し, Bligh-Dyer法で分画したクロロホルム層をシリカゲル薄層クロマトで展開してグリセロ糖脂質の3画分を分離した. S.pyogenes以外のグラム陽性菌(Lactobacillus plantarum,Eubacterium nodatum,Eubacterium alactulyticum,Listeria monocytogenes,P.acnes,Mycobacterium taberculosis,Corymebacteriam diphtheriae)の菌体または粗細胞壁をMoskowitz法で処理した. P.acnes,M.tubereulosis,C.diphtherjaeはグリセロールリン酸を含まない両親媒性物質で, その他はすべてLTAであった. 4.LTAのうちTNF誘導活性を示したのは, L.plantarum,E.alactulytieum,B.subtilisであった. M.tuberculosisの両親媒性物質もTNF誘導活性を示した. またS.pyogenesのグリセロ糖脂質のうちジグルユシルジグリセリドにも活性がみられた. 5.LTA誘導TNFはSallmonela abortus-equiのリポ多糖(LPS)誘導TNFは共にマウス腫瘍細胞の増殖を抑制し, また両TNFは抗原的に相関していたが, P.acnesで前処置し, さらにガラクトサミンを負荷したマウスに対してLTA誘導TNFはLPS誘導TNFと違って全然毒性を示さなかった.
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