研究分担者 |
嶋田 順子 徳島大学, 歯学部, 教務職員 (10170945)
日野出 大輔 徳島大学, 歯学部, 助手 (70189801)
遠藤 順子 徳島大学, 歯学部, 助手 (20176796)
前原 玲子 徳島大学, 歯学部附属病院, 助手 (30181605)
佐藤 誠 徳島大学, 歯学部, 助教授 (10126229)
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研究概要 |
我々は, 土壌菌中に歯周病の病原因子と考えられるB.gingivalisのコラゲナーゼの活性を阻害する物質が含まれることを初めて明らかにした. したがって, 本物質によりB.gingivalisの病原性を減弱することが出来れば, 歯周病の予防に応用するのではないかとの考えから本物質を精製するとともに, 細胞レベルでその影響を調べた. (1)B.gingivalisのコラゲナーゼの活性を阻害する物質を産生する土壌菌は, その形態学的, 生理学的特徴からStreptomyces属である. (2)コラゲナーゼの活性阻害物質は透析外液に存在することから低分子物質である. (3)未知のアミノ酸によって構成する数値の物質が存在する. (4)本物質はB.gingivalis比のコラゲナーゼやプロテアーゼの活性を阻害するが, 牛の膵由来のトリプシンには作用しない. (5)B.gingivalisのコラゲナーゼはヒト歯肉線維芽細胞(HGF)に強い傷害性を示すが, 本物質の存在下では細胞傷害が減弱する. (6)本物質はHGFそのものに対し何等為害性を示さない. (7)B.gingivalisのコラゲナーゼの活性を同様に阻害するウシ胎児血清も, 細胞傷害に対し本物質と同様の効果が認められた. 以上の結果より, 土壌菌中より抽出したB.gingivalisのコラゲナーゼの活性を阻害する物質はB.gingivalisによる歯肉の細胞傷害を予防することにより, その病原性を減弱させることが判明した. このことは将来, 本物質を歯周病の予防に応用出来る可能性を示唆したといえる.
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