研究概要 |
昭和61年度において、AuとPtとの和が70、CuとAgの和が30で、脱酸材としてZnを2、結晶粒微細化剤としてIr0.05を含む16種の合金(PTG)およびPdを25〜40wt%,Cuを15〜25wt%含み、残量をAgとする合金(AP)を高純アルゴンガス雰囲気中で溶製し、歯科精密鋳造に準じた方法で鋳造したときの機械的性質を調べた。その結果、硬化熱処理時の引張強さが95kgf/mm^2以上で伸び2%以上、ビッカース硬さ300以上を持つ65Auー5Ptー20Cuー10Ag(PTGー3)および60Auー10Ptー15Cuー15Ag(PTGー6)合金2種を最適合金として選択した。また、硬化熱処理時引張強さが最大となった35Pdー20Cuー45Ag三元合金にAu10%を加えた組成に近い10Auー30Pdー20Cuー40Ag(APGー7,引張強さ101kgf/mm^2,ビッカース硬さ343)およびこれよりCu量のやや多い10Auー30Pdー25Cuー35Ag(APGー11,引張強さ104kgf/mm^2、ビッカース硬さ358)合金2種を選択した。 昭和62年度において、10φ,6hの小試験片を用いて、圧縮せん断・引張り・曲げ・ねじり接着強さの測定できる接着強さ試験法を新たに開発し、上記4種の合金を歯科用4META系接着剤スーパーボンドC&B(SB C&B),リン酸エステル系接着剤パナビアEX(PEX)で接着したときの圧縮せん断・引張り接着強さを測定した。PEXを用いたとき、研摩したままの表面に対しては接着強さが小さいが、硬化被膜を接着面につけたままの状態(酸化被膜面)やスズめっきを施した面(スズ電析面)では、いずれの合金に対しても400〜500kgf/cm^2の接着強さを示した。SB C&Bを用いたときは研摩面、酸化被膜面、スズ電析面いずれに対してもよく接着し、接着強さは400kgf/cm^2以上となった。白金加金(PTG)、金銀パラジウム合金(APG)などの貴金属合金でも適切な表面処理を行えば、600kgf/cm^2以上の圧縮せん断・引張り接着強さが得られることを明らかにした。
|