研究概要 |
大黄の向神経作用物質RG-タンニンに関して化学的並びに薬理学的研究を行い, 錐体外路症状などの行動毒性を発現しない新しい抗精神病薬であることを強く示唆する下記の成果を挙げた. 1.化学的研究 (1)RG-タンニン:RG-タンニンの優れた製造法及び品質・規格法を確立した. また, RG-タンニンの化学構造を推定した. (2)各種大黄成分の研究:各種大黄のフェノール成分の構造決定及びHPLCによる分離定量を行い, RG-タンニンの製造原料として雅黄が最も優れていることを見だした. (3)プロアントシアニジン熱の構造研究:各種植物のプロアントシアニジンの構造解析を行い, RG-タンニンの構造研究のための有意義な基礎データを得た. 2.薬理学的研究 (1)行動薬理学的研究:RG-タンニンに探索行動の抑制作用, 抗メタンフェタミン作用, 抗アポモルフィン作用, 馴化作用(OBラット, THCラット), 抗ノルアドレナリン作用, 中枢性抗セロトニン作用及び条件回避反応の抑制作用を認めたが, 抗けいれん作用, 抗コンフリクト作用及びムリサイドの抑制作用は認めなかった. (2)神経化学的研究:OBラットにRG-タンニンを投与した際の脳各部位のNA量, DA量及びその代謝物量, 5-HT量及びその代謝物量を定量した結果, RG-タンニンはNA, DA及び5-HT受容体を遮断することが明らかとなり, 而もこの作用は部位特異性があり, 中でも線条体のDA受容体は遮断しない特徴を認めた.
|