研究概要 |
1)レーザー光音響イメージングアナライザーの製作:レーザー光源として従来のHe-Ne(633nm)と, 本研究費で購入したArイオン(514.5-488nm)を必要に応じて切り替えられるようにしたレーザー顕微光学システムを完成させ, セル内焦点面で12μmの集光を可能とした. 光走査のためのX-Yステップ走査, 光音響信号取り込みはマイクロコンピューターで行った. データ処理系:この様にして捉えた光音響信号のデータ点数1万から3万からなる信号像を, 検量線を基に, 物質量の像に変換する事に成功し, 定量範囲も限定出来るように, また色調から一目で各々の領域での微小域の量が分かる様, 改良を加え, イメージングアナライザー装置は完成した. 2)本装置を用いた新しいイムノアッセイの開発:(1)顕微光音響イムノアッセイの開発: 酵素免疫染色法によるアッセイ系を確立し, ヒト胎児組織(脾臓, 膵臓切片(5μ厚))中成分定量へ応用した. レーザーの分解能40μmφでのヒトλ型L鎖の検量線は0.1-100pgでS字型となり, これを逆に用い, 光音響信号像から物質量の像へ変換演算イメージ化する事に成功した. 各微小領域の量も色調で分かるようプログラムを改善した. 3)多項目光音響イムノアッセイの開発: 対照をヒトλ型L鎖, κ型L鎖, lgGとし, サンドイッチ法の原理を応用した多項目光音響イムノ方式験紙を開発した. 最終の染色反応の後これを乾燥させ, 光音響イメージングアナライザーで測定し, それぞれ100ng/ml-100μg/mlの領域で定量, 予想した結果を得た. これで一度に多項目の選択的な検出ができ, 当初の目的を果たす事が出来た. 今後キット化を含め実用化の推進が待たれる. 4)付帯的な発展: X線光音響イメージング法の開発 装置は, フォトンファクトリーで進めているX線光音響法によるイメージングにも適用され, 世界初の成功を見た.
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