研究分担者 |
松山 泰三 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
北畠 顕 大阪大学, 医学部, 講師 (00124769)
大村 皓一 (大村 晧一) 大阪大学, 工学部, 助教授 (90029059)
井上 通敏 大阪大学, 医学部附属病院, 教授 (30028401)
OMURA Koichi Osaka University Faculty of Engineering Science
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研究概要 |
本研究は非侵襲的かつ実時間解析に基づく超音波心筋組織性状診断のために種々の異なる心筋標本を対象に有用な音響学的パラメータの抽出ならびに自動診断アルゴリズムの開発を目的とした. 我々は組織からの後方散乱信号より臨床応用可能ないくつかの超音波診断指標の開発に成功した. 超音波データは自作の信号収集システム(サンプリング周波数100MHz, 分解能8ビットにてA/D変換)を用いて収録後, 計算機にて解析を行った. I.インテグレイテッド・バックスキャッター(IB):組織からの後方散乱信号のパワースペクトルの面積を発信超音波のパワースペクトルで補正して算出(dB)した指標. I-1: IBは梗塞発症3日目より健常心筋に比し増大を示す鋭敏な指標であることが明らかとなった. I-2:(心内膜側IB-心外膜側IB)は貫壁性梗塞心筋や健常心筋では負の値を示したのに対し, 非貫壁性梗塞心筋においては有意な高値を示し非貫壁性梗塞の診断に有用であることが示された. I-3:超音波入射角度のIBに及ぼす影響は梗塞心筋の方が健常心筋に比し大きいが, 入射角30度までの範囲においては梗塞心筋のIBは健常心筋に比し有意に大きいことが明らかとなった. II.周波数依存性減衰係数(FDA):中心周波数の異なる3本の超音波を用いて後方散乱信号よりFDAの算出法を開発し, 臨床応用可能とした. III.境界自動検出アルゴリズム:F1=(m1-m2)/(s1+s2)(m=mean,s=SD)を非貫壁性梗塞心筋からのRF信号に用いてF1の変曲点より心外膜, 心内膜および健常と梗塞部の境界を自動検出し得た. IV.テクスチャ解析:超音波RF信号収集後, 探触子から一定の距離の面を再構成し, その面内の平均強度で各信号を規格化することにより超音波発信強度に依存しない新たなテクスチャ解析を用いて健常心筋, 貫壁性梗塞心筋および散在性梗塞心筋を鑑別し得た.
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