研究概要 |
同型接合のZitterトラット(Zi/Zi)と異種接合のTremoトラット(tm/+)を交配してかられた二重突然変異体である自然発症てんかんラット(Zi/Zi, tm/tm)の欠神様発作および強直性発作に対する数種の抗てんかん薬の効果を検討するために, さらに, 自然発症てんかんラットにおけるこれらの発作がヒトの欠神様発作および強直性発作に相当するかどうかを調べるために, 脳波学的研究を行った. 埋込み電極を用いて大脳皮質前頭領および海馬から自発脳波を連続的に記録した. 自然発症てんかんラットは, 不動化および凝視状態を示す欠神様発作の期間には大脳皮質および海馬の脳波に, 発作性かつ同期性の5〜7Hzからなる棘徐波結合が出現した. この動物はまた, 外的刺激を加えることなしに強直性けいれんを示し, この場合には大脳皮質およびエトサクシミドによって抑制れさたが, 強直性けいれんは影響を受けなかった. これに対し, フェニトインは欠神様発作に影響することなく強直性発作を抑制した. フェノバルビタールおよびバルプロ酸ナトリウムはこれらの発作を同じ程度に抑制した. また, 0.1%のフェノバルビタールを含む飼料ペレットを生後7周目から自由に摂取させた自然発症てんかんラットでは, 外的刺激を加えることなく自然におこる強直性けいれんは, 生後8〜15周の間で抑制された. しかし, それ以後では明らかでなかった. フェノバルビタールを与えた自然発症てんかんラットでは, 体重は対群に比べて明らかに多く増加した. 延命効果もまた, フェノバルビタールを与えた雄性ラットでは認められたが, 雌性ラットではみられなかった. これらの成績は, 欠神様発作と強直性発作の両者をもった自然発症てんかんラットが, 抗てんかん薬の評価にとって有用な動物モデルであることを示すものである.
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