研究分担者 |
中村 静雄 日本真空技術(株), 計器事業部, 技術課長
林 敏雄 日本真空技術(株), 第3事業部第2技術部, 部長
蘆田 完 富山大学, トリチウム科学センター, 助手 (70192953)
松山 政夫 富山大学, トリチウム科学センター, 講師 (90135004)
HAYSHI Toshio Ressearch & Development Div., ULVAC Corporation (50166126)
市村 憲司 富山大学, トリチウム科学センター, 助手 (00151481)
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研究概要 |
核融合燃料などの分析時に質量分析計を高濃度トリチウムに長期間接触させると, そのノイズが上昇し分析精度が低下する. 本研究ではこの傷害をin-situに除去できるトリチウム計測用質量分析計(以後T用質量分析計と略記)を設計, 製作し, その性能を評価した. 製作したT用質量分析計に0.1Torr・sec(接触圧:1×10^<-6>Torr)のトリチウムを接触させた. その結果, ノイズレベルは1×10^<-9>A, ノイズ巾は5×10^<-11>Aに上昇し, 測定上の傷害が生じた. 但し, これらの値は標準型の質量分析計(ULVAC,MSQ-150A)で測定された傷害の約1/3の値である. これは真空容器及び質量分析計の表面に施した金コーティングの効果によるものと考えられる. 光照射により, このノイズレベルは2×10^<-10>A, 巾は1.5×10^<-11>Aまで減少した. これらの値は標準型の約1/15で, 今回製作した質量分析計はin-situに吸着トリチウムを除去でき, ノイズを低減できることが知られた. しかしながら, 完全なノイズ除去はできなかった. この原因は光照射により脱離したトリチウム水蒸気の光照射停止による二次電子増倍管表面などへの再吸着, あるいは紫外線ランプが低出力なために光照射が不均一になり, トリチウム脱離が不充分な部分ができるためである. これらの問題は水蒸気に対する排気速度の大きい真空ポンプを用いること, 紫外線ランプの出力を上げその数を増やすこと, 光照射時に影にある部分を最小限にすることにより解決できる. ちなみに二次電子増倍管のシールド円筒を茶筒タイプからメッシュタイプに変更したところ残留ノイズは半減した. 即ち, 本研究で開発したT用質量分析計は高濃度トリチウムに長期間接触させられた場合でもトリチウムの吸着量が少なく, さらにこれをin-situに除去でき, ノイズ傷害を克服できる. 従って, 核融合実験装置を初めとする様々な分野における高濃度トリチウムの測定に有効である.
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