研究概要 |
直径が大きく機械的強度の小さい植物プロトプラストの選別を行なうため, 口径150μmのノズルを上向きに使用し細胞を含む液滴を減速して回収する細胞選別装置を試作して, 液滴の形成条件, 液滴荷電量および偏向量, 液滴の捕集速度を調べ, ニンジンプロトプラストの選別, 回収実験を行ない以下の結論を得た. 1.液滴の荷電量および偏向量を長時間一定に保つために荷電液滴の位置・速度の検出を行ない, 液流速および荷重パルス位相を制御して, 荷電液滴の偏向および捕集の安定性を向上した. 2.液滴軌道最上部付近に設けた電気集じん式の液滴捕集部を用いることにより, 細胞を含む荷電液滴を0.2〜0.4m/sの遅い突入速度で捕集することができた. 3.ニンジンプロトプラストはノズルを通過する際に, 液流速V=7m/sのとき約25%が, V=10m/sのとき約60〜75%が破壊されることが判明した. 4.下向きノズルを用いて試験管に回収する従来の方法では, V=7m/sのとき約75%, V=10m/sのとき約90%のプロトプラストが破壊された. 5.試作した装置においてノズル出口の液滴速7m/s, 超音波振動子周波数10KHzの条件でニンジンプロトプラストの選別・回収を行なうことが可能となった. 6.偏平なヒツジ赤血球細胞を用い, 細胞の向きをそろえレーザ散乱光強度の再現性を向上する基礎検討を行なった. 先端形状の異なる6種類の細胞液用ノズルを比較したところ, 従来型ノズル形状では散乱光強度が4つのピークに分かれて分布するのに対し, 先端を内側に丸くカットしたノズルではピークがほぼ1つになり, 再現性を向上できる可能性のあることが判明した.
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