研究概要 |
実験室におけるEXAFS測定を困難にするものは第一にX線源の2ペクトル分布の不連続性(各種の特性X線の存在)であり, 第二には分光結晶からの不必要な次数の反射光の混入, そして第三にはX線強度の弱さがあげられる. このうち第一, 第三は回転対陰極型の強力X線発生装置の使用とフィードバックシステムの導入によりある程度解決することができる. そこで本研究では上記の第二の問題点の克服を念頭において二結晶分光器を製作した. その原理は消減則が異なる2種の分光結晶を利用することにより, 目的とする以外の反射を無くすことにある. たとえば第一の分光器でGe(333)結晶面からの反射を利用するとき, (111),(444),(555),(777)などの面からの反射も〓〓するがこれにLiF(220)を分光結晶として持つ第二の分光器を組み合わせればGc(333)面から反射したX線だけを取り出すことが可能である. すなわちGc(333)で24keVのX線を分光するとき, 8,24,32,40,56keVのX線が同時に反射される. それに対し次のLiF(220)からは24keVとその整数倍のX線だけが反射されるから, 24keVのX線だけをとりだすことができるわけである. ただその際の問題点は2回反射による強度の減少であったが結果的には2回反射によるロスを高電圧印加が可能になることによるゲインとがほぼ等しく数万〜数十万cbsのX線強度を得ることができ, EXAFS分光器を使用して十分使用に耐えることがわかった. またこの分光器を使用してシリカに担持したモリブデン, アルミナに担持したトテニウム等の触媒の構造研究を行った. 特に後者ではルテニウム原子が数個集った非常に高分数状態になっていること, それに一酸化炭素が吸着すると金属-金属間結合が閉塞すること等が判明した.
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