研究分担者 |
鈴木 旺 名古屋大学, 理学部, 教授 (50022504)
内貴 正治 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (10020752)
宮城 妙子 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (50006110)
池原 征夫 福岡大学, 医学部, 教授 (70037612)
永井 克孝 東京大学, 医学部, 教授 (80072974)
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研究概要 |
1.癌ウィルスで形質転換した細胞の糖脂質変化は癌遺伝子以外の影響も受けている. そこで癌遺伝子自体を導入した細胞の糖脂質を調べたところ, 核内型遺伝子はGM3が減少しGD3を発現した. 他方, 核内型遺伝子ではネオラクト系ガングリオシドを発現した. 核内型遺伝子は糖蛋白のGlcNAc→4と1→6分枝構造を増加させ, 1→6分枝の増加は造腫瘍性と相関していた. 2.GD3は種々の癌で発現されるので, GD3合成酵素の部分精製, characterizationを行った. この酵素はGM3のみを基質とし, 肝癌では活性が亢進していた. 癌では糖鎖の硫酸化やリン酸化の多様な修飾を受ることが分ってきた. ヒト腎臓癌では増加する硫酸化酵素を精製した. その癌性変化を調べている. ムコ多糖の硫酸化酵素は幾つか存在するが, それらは精製されていないので動物胎児血清で分画を行っている. ムコ多糖糖鎖の分解に働くリソゾームのスルファターゼBやβーグルクロニダーゼはヒト肺癌や肝癌で, 酵素に結合する糖鎖にリン酸エステルが増加するのみならず, その蛋白部分もリン酸化されていることを見出した. これらリソゾーム酵素は正常組織でも蛋白リン酸化があるが, 癌とはリン酸化部位が異っていた. cAMP依存性蛋白キナーゼがこれらのリン酸化に働くことが分ったが, 癌ではこのキナーゼ亜型が正常とは違っていた. 3.ヒト消化器癌で発現される異種抗原, GM3(NeuGc)に対するヒトのモノクロン抗体(IgM)作製した. IgMをin vitroでIgGに変換することを試みている. 癌関連ガングリオシド抗体はそれのみで癌抑制効果があるので, このヒトモノクロン抗体の癌治療への応用が期待される. その他, 数種の癌関連モノクロン抗体が確立され, 血清診断の有効性を検討中である. 4.癌マーカーCEAは癌細胞膜の糖スファチジルイノシトール(PI)ー糖鎖ーリン酸エタノルアミンを介して共有結合しており, PI特異的ホスホリパーゼCでCEAを解離することを見出した.
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