研究分担者 |
山添 康 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00112699)
児玉 昌彦 国立がんセンター研究所, 室長 (00100149)
鎌滝 哲也 北海道大学, 薬学部, 教授 (00009177)
大村 恒雄 九州大学, 医学系研究科, 教授 (80029933)
藤井 義明 東北大学, 理学部, 教授 (00098146)
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研究概要 |
1.P450I遺伝子群の構造と発現調節:メチルコラントレン(MC)を投与したラット肺P450MCのcDNAの全塩基配列を決定した. その配列はラット肝P450cのそれと非常に類似していたが, 5'端のイントロンI部位でCAGの欠損が認められ, スプライシングの異常をもたらすの能性を示唆した. 犬肝のP450D2の部分的cDNAを得, P450IA2に属することを確め, ポリ塩化ビフェニイルの投与により肝と共に腎,肺,小腸にもmRNAが存在することを確めた. 2.P450II遺伝子群の構造と発現調節:雄ラット肝に特異的で, 構成的に発現しているP450Mー1と, これに関連性のあるP450PBー1,P450fのcDNA構造を明らかにした. 35kbのサイズのP450Mー1ゲノムDNAの構造を決定し, エクソン,イントロン構造がP450bと一致していることを確め, 5′上流域にGRE塩基配列と類似の配列を認めた. フェノバルビタール(PB)投与によってもP450PBー1(b)が主として発現し, P450PBー4(e)の少ない変異ラットを発見し, この変異は劣性遺伝することを確めた. 雄ラット肝に特異的なP450gの分部的cDNAを得, ヘム蛋白が測定できなかったラットの系統でもmRNAの存在を認めたが, 雌ラットでは見出せなかった. 3.ヒトP450遺伝子の発現:ヒトP450cゲノムDNAの塩基配列を決定し, 5′上流域にXRE塩基配列を認め, メチル化のないCGクラスターが多く存在することを確めた. 4.P450依存酵素活性の調節:蛋白合成ならびにポリADP〓ホース合成酵素の阻害剤の添加により, ラット肝初代培養細胞のAHH活性誘導が促進された. 5.P450と活性酵素との関連:変異原性物質のエモジンはP450と水酸化されて後, 活性酸素を生成することを確めた. 6.将来への展望:種々のP450遺伝子を用い, ヒト組織におけるDNA,mRNAレベルの発現を詳細に検討し, 発癌剤の代謝との関連について考察する.
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