研究分担者 |
坂本 穆彦 癌研究会, 癌研究所, 研究員 (10072315)
長谷川 章雄 東京大学, 医学部病理学教室, 助手 (90134535)
小池 盛雄 東京都立駒込病院医長, 医長 (90127043)
大坪 浩一郎 東京都老人総合研究所, 臨床病理学部, 部長 (20012718)
藍沢 茂雄 東京慈恵会医科大学, 病理学教室, 教授 (10056575)
|
研究概要 |
本年度は, 前年度各施設において整備され稼働しているがん病理データベースを中央の大型電算機に統合し, 一定のデータアウトプットの形式に出力して, 都市型の癌の特性の統計的把握に努めた. その統合データベース構築に際しては未だ多くの情報処理上の技術的問題も残しているのが実状であるため, 本年度の統計出力は暫定的な内容を持っており, 次年度において細部の点検とより多くの種類の癌について癌の特性と要因を検討したい. 1.東京の14施設(慶応大は未着)から, 磁気テープあるいはフロッピーディスクをメディアとして, 83,84,85年に手術生検材料によって癌と診断された患者についての性別, 年齢, 採取部位, 組織型を中心とするデータを集めて大型電算機に入力後, 同一症例を患者IDによって落し(未だ完全ではない), 変換テーブルによりデータを統合し一回目の統計表出力処理を行った. 2.悪性腫瘍は3年間で計28,696例はり, 死亡から推計される東京の癌患者の推計年間発生値2万数千件の約3分の1が把握されたと期待できる. 男女比は1:18, 年齢のピーク(及び中央値を含む群)は男女とも55ー59歳の群にあり, その分布は一般的な総合病院(例.東大病院)における癌患者の分布と相似している. ただし各施設間の男女比, 各腫瘍の構成比率には一定の違いがあり, 癌の罹患率の観察に近ずけるためには疫学的作業が更に必要である. 3.採取部位別構成では, 胃(24%), 結腸直腸(10%), 乳房(9%), 気管肺(7%), 子宮頚部(6%)の癌などが多いものである. また肝臓, 膵臓なで生検手術例のみではその実態が掴みにくい癌もある点は考慮に入れる必要が認められた. 4.肺癌については, その組織型構成に特徴があった. 男女あわせては腺癌46%(全国統計39%)扁平上皮癌35忍(同40%), 男では腺癌40%(同32%), 扁平上皮癌42%(同46%), 女では腺癌70%(同64%), 扁平上皮癌19%(同19%)と腺癌の比率の上昇が目立った.
|