研究概要 |
培養実験系での耐性機構解析とその克服について:癌遺伝子を標的とする新たな抗生物質oxanosineはp60^<src>発現細胞の増殖抑制能をもち,その作用はInosinemonophosphateーdehydrogenaseを阻害するものと予測された. また各種の発現する癌遺伝子の違いにより各種の薬剤に対する感受性の対照との差違はras発現細胞では認められなかったがmyc導入細胞,syc発現細胞では認められた. その機序については不明である. blecmycinの耐性機序解析の方策として分子量300Kの6量体構造をもつBLMhydrolaseの精製及びそのモノクロ抗体を作成した. この不活化酵素活性の各臓器における分布を知ることが可能となり,BLMの有効性の予言性に役立つ. 更にBLM不活化酵素の阻害物質の検索ではロイペプチン,E-64によって顕著な阻害がみられ,エールリッヒ腹水癌にて併用による治療増強効果を認めた. 同様に耐性克服の面で,cephalantin,合成イソプレノイドがPーglycoproteinに結合し,ビンカアルカロイド系薬剤の耐性を克服しうることをフォトアフィニィティラベル法により認めた. 一方,P388/5Fu,ヒト白血病CCRFーCEMによる耐性機構の解析ではアイソトープラベルされた薬剤の利用にて,uridine kinase,uridine phosphorylaseの活性低下が低感受性の原因であることが示唆された. 遺伝子移入によるワクチン化への新たな試みとして,H-2 transfectantの利用では生体にてtransfectant拒絶マウスは親がん細胞をも拒絶することを認め,遺伝子移入による癌細胞異物化が可能となった. 臨床面における耐性機構の解析:重要な抗癌剤であるシスプラチンに対する耐性肺癌細胞が樹立され,その機序の一面として,mdr-gere/P-glycoproteinとは異なる機序が示唆された. 造血腫瘍,絨毛癌ではDHFR-geneの増幅は胎んど認めることはなく,臨床での耐性機構は多面性をもつことが示唆された. 難反応性白血病に対する中等量Ara-cとミトサントロンの併用は高い寛解率18/25(72%)を得,有効な治療プロトコールと判断された.
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