研究概要 |
自然抵抗性抗がんエフェクター系を構成する細胞は,食細胞系とナチュラルキラー(NK)系に大別される. また,自然抵抗性の媒介因子としては,インターリウキン(IL),インターフェロン(IFN),腫瘍壊死因子(TNF),動物レクチン,およびその他の既知あるいは未知因子が関与している. 本班に属する分担者は,それぞれ,それらのうちのいくつかに関係した研究を行った. 1.食細胞系に関しては,(1)好中球活性化因子で活性化れた好中球は,T細胞との共働によって抗がん作用を発揮する,(2)マクロファージ(Mφ)は,生体内ではIFN(α,β,γ)とT細胞由未の非IFN性Mφ活性化因子によって活性化される,(3)Mφ活性化には環状AMPの上昇が必要であるが,TNF産生はかえって抑制される,(4)ドジョウ卵レクチンの刺激によって,骨髄未熟MφがTNF様因子を放出すること,などが明らかになった. 2.NK系に関しては,(1)ILー3とILー2の連続刺激により,造血系幹細胞からNK活性のある大顆粒細胞(LGL)が得られた,(2)細胞傷害性T細胞(CTL)の抗原受容体に対する抗体は,それらのCTL活性を抑制するが,それらの細胞の示すNK及びリンホカイン活性化キラー(LAK)は阻害しない,(3)ヒトがん患者LGLと自己がんとの相互作用により,これまで知られていたいかなる因子とも異なる抗腫瘍因子(LGLーCF)が放出される,(4)LAK誘導は単球では増強されるが,活性化Mφや肺胞Mφでは却って抑制されること,などの成果が得られた. 3.その他のエフェクターや因子については,(1)ヒトILー2遺伝子トランスジェニックマウスが作成された,(2)IFNー8遺伝子導入CTLにより,CTL活性が増強される,(3)がん特異的免疫寛容がリンパ組織で成立しているマウスでも,がん局所にT細胞が浸潤し,それらがMφやNKを活性化することなどの結果が得られた.
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