研究分担者 |
星野 洪郎 群馬大学, 医学部, 教授 (00107434)
戸澤 秀樹 北里大学, 衛生学部, 教授 (90104562)
山本 直樹 山口大学, 医学部, 教授 (00094053)
畑中 正一 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (30142300)
栗村 敬 鳥取大学, 医学部, 教授 (00112110)
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研究概要 |
1.ATLウイルスキャリアの国内国外分布 青森県住民成人(40才以上)993名について抗体保有者をしらべたところ, 女性10名, 男性2名が陽性であった. 島根県16才以上成人4287名について抗体をしらべた結果, 245名(4.7%)が陽性であり, ある村落では15%陽性のところもあった. フィリッピンのネグリト(狩猟系住民)746名中19名陽性であった. 古い蒙古系人種にまたキャリアが発見されたことになる. 2.キャリアの免疫不全の解析 先ずEBウイルス特異的細胞性免疫(EBV・CI)について, ATL患者は殆どの場合EBV・CIの低下があることが我々の研究で証明されていた. 今回は健康成人キャリア63名についてしらべたところ18名(29%)にこのEBV・CIの低下がみられた. ノンキャリア対称成人ではその低下をみたのはゼロであった. 糞線虫感染症患者36名についてATLウイルス感染についてしらべた. 全員抗体陽性者であるがこのうち14名(39%)にATL患者と同様にモノクロンウイルスcDNAが検出された. ATLウイルス感染で免疫不全がおこったため糞線虫感染が増悪したと考えられる. 以上のような免疫不全症がATLウイルスキャリアにみられることは, ATL発症のひとつの重要な個体要因として指摘しておきたい. 3.ATLウイルスワクチンの基礎的研究 ATLにはあるワクチンを開発するために, ワクチニアウイルスのHA遺伝子とATLウイルスのenv遺伝子をくっつけて, この組換え遺伝子をもつ弱毒ワクシニアウイルス株を作成した. これを生ワクチンとして, ウサギに1回注射したところ, envに対する抗体上昇が認められたのみならず, ATLウイルス攻撃に対して感染予防効果も明らかにされた.
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