研究分担者 |
伏谷 伸宏 東京大学, 農学部, 助教授 (70012010)
佐々木 琢磨 大沢大学, がん研究所, 教授 (90109976)
神谷 久男 北里大学, 水産学部, 教授 (80011964)
古森 徹哉 九州大学, 薬学部, 教授 (80037572)
柿澤 寛 筑波大学, 化学系, 教授 (50015492)
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研究概要 |
海洋という特殊な生息環境下にあり物理的防御機能をもたない種々の海洋生物は, 常に病原微生物の侵襲や他種生物による捕食に脅かされている. この様な特殊な環境に生息し, 適応するため, これらの海洋生物はその進化の過程において, 陸上生物とは異なる代識系あるいは生体防御系を発展してきたと考えられる. したがってその産生成分には新奇な化学構造を有する抗腫瘍性物質の存在が期待される. 本研究において, 沖縄サンゴ礁域, 伊豆諸島をはじめ日本各地沿岸で採集した海綿動物, 腔腸動物, 棘皮動物, ホヤ類, 軟体動物, 海藻, 海洋微生物など種々の海洋生物の試料について新規抗腫瘍性物質の探索を行った. 抗腫瘍活性物質探索の予備スクリーニングとして, これら試料の抽出エキスおよびさらに粗分画したものについてウニおよびヒトデ受精卵卵割阻害効果や癌細胞増殖阻害効果をin vitroで迅速に検討し, 有効と判定された物質はさらに実験腫瘍やヒト腫瘍細胞を用いてin vivoで詳細な検討を行った. その結果, 多彩な化学構造を有する種々の新規抗腫瘍性物質:海綿類……ポリエーテル系(ハリコンドリン系),大環状ラクトン(ビステオネリド類),アルカロイド(トリアノシンA),ペプチドラクトン(テオネラペプトリド類);八放サンゴ類……テルペノイド(ネフテオキシジオール,ケリセンブレノリド類);後鰓類……テルペノイド(アプリクロディンA),含ハロゲンテルペン(アプリシアピラノイド類);ホヤ類……アルカロイド(シュウドディストミン類,シストディチン類),プロテオグリカン;海洋微生物……マクロリド(アンフィジノライドA)などを見い出している. 今後, 顕著な活性を示す抗腫瘍性物質については, さらに作用ならびにその作用機作について詳細に調べるとともに, 化学修飾を検討する. また, 引き続き海洋生物由来の新規抗腫瘍性物質の探索を継続する.
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