研究分担者 |
佐藤 吉昭 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (70013894)
市橋 正光 神戸大学, 医学部, 助教授 (00030867)
二階堂 修 金沢大学, 薬学部, 教授 (60019669)
山泉 克 大阪大学, 細胞工学センター, 助教授 (70107093)
田中 亀代次 大阪大学, 細胞工学センター, 助教授 (80144450)
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研究概要 |
1.DNA修復欠損を相補する修復遺伝子のクローニング 色素性乾皮症(XP)のA群細胞へのヒトcDNAライブラリーおよびマウス染色体DNAの導入によって, 世界的に困難であった紫外線抵抗性と修復活性をもった形質転換株を樹立し, 遺伝子工学的に除去修復欠損を相補するヒトcDNAおよびマウス遺伝子を含むプラスミドおよびコスミドコローンがクローニングできた. 今後遺伝子構造およびタンパク一次構造の研究ができる. マウスDNA修復欠損株へHeLa DNAを導入し, 完全な野性型への形質転換株を樹立することができたのでマウス相補工群の修復遺伝子が単離できる. 2.DNA修復欠損蛋白の解析 ヒト・動物組織から生化学的に高度精製したA,C群XPタンパク因子は分子量約30KDでUVエンドヌクアーゼ活性をもたないが複合体を形成し, 細胞内注入でそれぞれ特異的にA,C群のみに修復活性を与えることが明らかとなりタンパク構造解析が可能となった. XP因子の作用機構が今後可能になる. 3.DNA修復欠損の解析 XP各群のUV損傷の修復欠損の特徴を明らかにするために, 塩基2量体と(6ー4)産物を特異的に認識する単クローン抗体が樹立でき, 高感度検出等が開発された. 一方, 不定期DNA合成と2量体認識修復酵素を用い, 日本人A,C,D,E,F,Gとバリアント群XPの修復欠損の特徴も分子生物学的に解明した. 4.XPの発癌実態とその要因 日本人登録XP患者278例の皮膚発癌率は44名で, 修復欠損の最も強いA,C群で平均年齢約10歳で早期高率発癌を示し, 2量体修復のできるバリアント群でも高率(40%,平均40歳)に皮膚癌が見られ, XPの高発癌性の実態が把め, 修復欠損が最大の第一義的要因であった. 日本には高発癌性のA群とバリアント群患者頻度が特に高い.
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