研究概要 |
(1)抗体陽性者の疫学的把握(分布解析):徳留らは献血者のHTLVーエキセリアを長期追跡し, ATLによる死亡を調べ,死亡率, 累積危険率などを推定する目的で, 現在九州8県10の血液センターのうち5センターからHTLVーエキセリアのリストを入手し, 解析を始めた. (2)抗板陽性者の病態の解析:木下らはHTLVーエキセリア63人の末精血にみられる核異常を1981年以来経時的に観察し, かなり変動があることを明らかにした. またHAM患者の異常リンパ球はくすぶり型ATLにみられる異常リンパ球と形態学的に区別がつかない. (3)抗体陽性者の免疫不全と合併症:山口らは沖縄の糞線虫症患者でHTLVーI抗体陽性の36例中14例(39%)にHTLVーIプロウイルスDNAがモノクローナルに組込まれていることを明らかにした. またその中から典型的なATLに進展する例が存在した. (4)抗体陽性者のがんリンク:HTLVーIキャリアは発がんのリスクが高いという以前のデータに対して田島らは長崎県の上五島地区において同様の調査をしたが同じような成積は得られなかった. 今後さらに地域を拡大して検討することが必要であろう. (5)抗体陽性査のシミュレーション:疫学調査からHTLVー1の主要な感染経路のうち現在問題となるのは母児感染と性交であると仮定して種々の状況における集団のキャリア率を経時的にシミュレートするモデルを作成した. ATLの対策にこのようなモデルが役立つものと期待される. (6)カリビアンATLと日本人ATLの比較:ATLのもう一つの多発地域であるカリブ海から英国に移住して発病するATL患者の病像を比較すると, 日本人ATLに比して発病年齢が低い(80歳に近い)こと以外に全く同じである. 年齢差について論じた
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