研究分担者 |
馬場 恒男 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (70037323)
稲田 祐二 東京工業大学, 理学部, 教授 (40016035)
橋田 充 京都大学, 薬学部, 助教授 (20135594)
稲葉 実 (財)癌研究会, 研究員 (60085636)
今野 俊光 熊本大学, 医学部・附属病院, 講師 (60117348)
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研究概要 |
高分子制癌剤が, より腫瘍選択にデリバーされる理由の一つは腫瘍組織における血管透過性の亢進である. この透過性が亢進している理由が, いかなる分子レベルの機構によっているかを前田らは検討し, それが, ブラジキニン産生系が活性化しているためであることを証明した. また, 稲葉, 平野班員はサイズの異なる腫瘍に対して, DIVEMAーアドリアマイシン結合型高分子制癌剤を用いて制癌実験を行い, 腫瘍直径が数mm以上のものに対しては高分子化した方が, より有効であることを示し, 前田らの提唱している固型腫瘍のEPR効果(Enhanced permeability and retention effect)によることを裏付けた. また, 稲田は磁性化酵素がポリエチレングリコール結合酵素において可能であることを示し, 将来磁石による固型腫瘍へのターゲティングが可能であることを示した. 高橋班員はネオカルチノスタチン結合型結腸癌モノクローナル抗体(Aー7)によって動物モデルならびにヒト臨床においてものNCSよりはるかに有効であることを示した. 今野および前田は, 腸癌の肝転モデルに油剤化制癌剤SMANCS/Lipiodolを門脈より, 手術時に投与することによって肝転移癌に対し左倒的に有効な予防法を開発した. 桑野班員は薬剤耐性の克服にレチフールその他(ベンジルイソキノリン誘導体)ー等油剤が有用であることをin vitro系で示した. 前田らは, スマンクスのもつBRM効果の解析した結果, スマンクスはマクロファージなどの活性化に加えて, ガンマインターフェロンをも誘導することをマウスの実験で見出した. つまり, 高分子(ポリアニオン)結合によって制癌剤にもたらされる一つのメリットであることがわかった.
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