研究分担者 |
口野 嘉幸 国立がんセンター, 生物物理部, 部長 (60124418)
石井 俊輔 理化学研究所, ライフサイエンス筑波研究センター, 研究員 (00124785)
下遠野 邦忠 国立がんセンター, ウイルス部, 部長 (10000259)
井上 純一郎 癌研究所, ウイルス腫瘍部, 研究員 (70176428)
半田 宏 東大, 医学部, 助教授 (80107432)
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研究概要 |
細胞およびウイルスの遺伝子の転写をトランスに活性化する機能が, DNA型およびRNA型がんウイルスのウイルス遺伝子の重要な機能としてクローズアップされ, その機能と細胞のがん化との関連が問題となってきた. 本研究では, トランス作用を示す遺伝子およびその標的遺伝子の構造と機能を検討し, 細胞がん化における遺伝子活性化トランス作用の役割をしらべる. 62年度に得られた結果は次の通りである. 1.アデノウイルス:変異導入法によりアデノウイルス12型ELA遺伝子のコード領域のN端側にもトランスフォーム活性, 遺伝子活性化トランス作用に重要な構造があること, またアデノウイルス2/5型については, E1A蛋白のトランス作用をうけるE4遺伝子のプロモーター・エンハンサー領域の構造が明らかとなり結合する復数種の転写調節因子が同定された. 2.HTLV,BLV:トランス作用を示すX領域コード蛋白が同定され, さらに転写後にmRNA種を質的量的に調節する機能をもつ別種の蛋白が同様にX領域にコードされていることが示された(HTLV). 3.レトロウイルス関連遺伝子:cーmyb蛋白のトランス作用が示され, その標的構造が明らかとなり, またcーmyb蛋白の精製が進められている. また, MoーMLV感染に依存して, サブレッサーtRNAの合成誘導がかかることからMoーMLV遺伝子中にトランス活性化能をもつ領域があることが示唆された. 4.がん遺伝子の協同作用:ラット由来3Y1細胞株あるいは初代胎児線維芽細胞を場として, Cーmycとアデノウイルス12型E1AあるいはinA941(SV40T抗原変異株)との間に, トランスフォーメーションに関し協同作用が示され, 協同作用における遺伝子のトランス活性化能の関与の可能性が検討されている. 5.転写調節の機構:DNAの立体構造が転写に密接に関連していることが示唆されているが, DNAをin vitroでスーパーコイル化して転写させる系が確立され, スーパーコイル化因子の精製が進んでいる.
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