研究分担者 |
今井 浩三 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60117603)
森 武貞 大阪大学, 医学部, 教授 (60028496)
葛巻 暹 北海道大学, 医学部, 教授 (80091445)
西 信三 北海道大学, 医学部, 教授 (20001894)
松岡 雄治 福岡大学, 医学部, 教授 (70078773)
|
研究概要 |
これまで申請者らは, 消化器系癌抗原, 特にCEAを中心に多数のモノクローナル抗体を作製し, 抗原分子の免疫化学的性状を明らかにするとともに, その糖鎖構造を部分的に解明し, クローニングされたCEAのオリゴヌクレオチドを用いて組織レベルでのmRNAの発現を各種オンコジーンのそれと比較検討して前癌病変を中心に成果を挙げてきた. 一方近年多くのオンコジーンが発見され, その産物についてもいくつかの興味ある知見が得られつつあるが, その発現機構や制御遺伝子については不明の点が多く, 他の癌関連抗原遺伝子との関連性も明らかではない. 本研究においては以上の実績と近年の分子生物学・免疫学の発展を背景として, 消化器系癌抗原に目標をしぼり, CEAならびに班員により新しく検出されたMUSE11抗原を中心とする癌胎児性抗原ならびにオンコジーン産物についてその発生生物学的意義ならびに生物学的機能について明らかにすることを主目的として, 蛋白および糖鎖レベル, mRNAレベルおよびDNAレベルについて詳細な解析を行った. その結果, CEAの糖鎖は高マンノース型とtype2鎖を骨格としたX,Yなどの一連の血液型関連抗原決定基を側鎖にもった複合型糖鎖であることを明らかにした. さらに糖タンパク質糖鎖と反応するモノクローナル抗体を得るための極めて有効な方法を見い出すと共に, 癌遺伝子産物の解析も著しい進展を示している. 今後, これらの癌抗原の発現機構や調節機構についても研究を推し進め, 早期診断や治療における標的抗原としての新しい臨床応用への道を切り拓く.
|