研究分担者 |
高橋 道人 国立衛生試験所, 室長 (30080005)
益子 高 東北大学, 薬学部, 教務職員 (30157200)
野瀬 清 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (70012747)
藤田 潤 大阪大学, 医学部, 助教授 (50173430)
中村 敏一 徳島大学, 医学部, 助教授 (00049397)
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研究概要 |
伊東は腺胃前癌病変としてのpepsinogen1低下幽門腺(PDPG)を免疫組織学的マーカーとして胃発癌物質や胃発癌プロモーターの短期検索の可能性を明らかにした. さらに天然に存在し変異原性のない酸化防止剤, Catecholのラット腺胃に対する発癌性と極めて強い胃発癌に対するプロモーター作用の存在を見出し, ヒト胃癌の原因解明への糸口を示した. 中村は幼若ラット肝細胞の初代培養を用いてIGFーIおよびIIやTGFーβなどの既知増殖因子に加え幼若ラット肝細胞のオートクリン因子の本体と思われる分子量3万の酸, 熱耐性因子の存在を明らかにした. 藤田は化学発癌物質による癌の発生とras癌遺伝子活性化について検索し, 3ーMCで処理されたヒト培養細胞において点突然変異によるras癌遺伝子活性化に伴い悪性形質転換が行われる事を明らかにした. またラットBBN膀胱発癌過程において病理形態学的変化の進展する以前よりras蛋白p21の発現亢進が認められる事を明らかにした. 野瀬は発癌プロモーターTPAを用いTPAによる活性酸素がcーfos発現のシグナルになり得る事を示し, さらにcーfos蛋白の中間部分にある24個の合成ペプチドを抗原としcーfos蛋白に対する抗体作成に成功した. 益子は1ーメチルアデノシン(m'Ado)に対するモノクローナル抗体を作成し免疫組織化学的に食道,前胃,皮膚および膀胱上皮の基底部にその存在を証明し, さらにラットBBN膀胱発癌による検索で単純性過形成から癌に至るすべての病変においてその染色領域の拡大を認め, m'Adoが細胞増殖の新しいマーカーとなる可能性を示唆した. 高橋は独自に作成したハムスターの低スピン型チトクロームPー448に対するモノクローナル抗体を用いハムスター膵癌発生過程を検索し, 前癌病変の異型増殖巣のみならず膵癌発生母地である胆膵共通管および膵管においても陽性部位を認め膵発癌過程の解析における新しい指標としての有用性を示した.
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