研究分担者 |
西川 克三 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10029960)
武田 健 昭和大学, 医学部, 助教授 (80054013)
堀尾 武一 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (70029932)
田中 亮 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (90094383)
鈴木 不二男 大阪大学, 歯学部, 教授 (40028717)
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研究概要 |
昭和62年度の大まかな目標は, 非免疫系の抗腫瘍性因子を産生し, 精製することである. このことより, それぞれの因子の物理化学的性状を検討することである. さらに, 一部の抗腫瘍性因子については, 作用機構やinvivoでの抗腫瘍効果を検討することでもある. 以下, それぞれの抗腫瘍性因子についての成果の概要を述べる. 1.腫瘍変性因子(TDF)については, ヒト略維芽細胞を無血清培地で培養してもTDFは産生されるが, 産生量は血清濃度に依存することがわかった. 2.ヒト血小板由来の細胞増殖阻害因子(EGI)は分子量27K, 等電点9の酸に安定で還元剤に不安定なタンパク質で, N末端アミノ酸配列よりTGFーβファミリーの一貫であることがわかった. 3.ラット神経芽腫細胞増殖抑制因子(NGIF)は分子量75000, 等電点5.3の酸性タンパク質であった. また, ヒトNGIFは分子量5000〜10000で, 等電点は6.1と8.4の二分成であった. 4.軟骨由来抗腫瘍因子(CATF)をヒト軟骨より株化した細胞(HCS)より産生することが可能になった. 5.マウスマクロファージをセンチニクバエレクチンで刺激することにより産生される細胞障害性タンパク質はTNFであることがわかった. 6.ELISAを用いて種々の腫瘍細胞や組織でのFGF活性(aciclic型とbasic型を区別して)をみた. 7.ヒト線維芽細胞由来のヒト骨髄性白血病細胞を分化に導く因子の分子量は25000で, 等電点5.4であることを確定した. 8.新生期脳由来抗癌因子(NBCF)でブタ脳よりも産生されていること, 分子量が12万〜22万と0.5万〜1万の2種あることが確認された. 9.正常血清中にも, ある種のクロマトグラフィーを用いれば腫瘍退縮因子活性をもつ分画の得られることがわかった.
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