研究分担者 |
杉原 洋行 福井医科大学, 医学部, 助手 (30171169)
三沢 信一 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (40117908)
水野 丈夫 東京大学, 理学部・動物学教室, 教授 (50011490)
土橋 康成 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (50106390)
坂倉 照〓 理化学研究所, 真核生物研究室, 主任研究員 (80073120)
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研究概要 |
ヒト癌の発生にさいして, いったん少数個の癌細胞ができたのち, どのように癌が進行し何故, また, 何時, 深部に浸潤し, 転移し, 末期癌への道を急速に進むようになるのかというプログレッションの具体的な研究は甚だ少なかった. 本研究は, この過程に焦点を合わせ, 学際的アプローチにより, その実体を把握しそこに働くメカニズムを分子のレベルから明らかにし, もって人癌の予防・予防的治療に寄与する基礎的な知見を集積しようという目的で研究が行われた. 癌が人体内に存在しているとき, その生長している場所によって癌の生長速度が異なることはよく知られるようになった. 間質と血管の増殖・生長と癌生長の速度の間には律速的な関係のあることがわかったが, これまで血管の生長・増殖を測定する方法もなかったのが実状であった. 本研究でレクチンを用いる血管の動態解析法が確立され今後の研究に役立つことが期待される. 一方, 癌細胞の方も蛍光によるDNA定量が微小癌・小型癌・粘膜内癌・浸潤癌・高浸潤性癌・転移の多くについて行われ, 癌進展と癌細胞DNA量分布の間に密接な関係のあることが明らかにされた. 初期癌では非癌細胞と同じ完全デイプロイド型DNA分布をとるものが絶対多数を占めること, 浸潤癌なかんずくスキルスなどの高浸潤癌では異倍体型が多くを占めるようになること, が明かとなった. しかし, デイプロイドとか異倍体といっても染色体やDNA分子のレベルではどうなっているか極めて興味のある問題であるが本研究で行った染色体分析では胃癌や大腸癌ではDNA量から推量される以上の変異の生じていることが明らかにされた. このようなゲノタイプに対し, 癌細胞の表現型, とくに表面の細胞膜にどのような変化を生じているか, 糖鎖の分子解析の面から, 表面タンパクのcDNAクローニングによる分析の面から及びレセプター変化の研究を進めた.
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