研究分担者 |
大垣 比呂子 国立がんセンター研究所, 生化学部, 助手 (00150201)
大西 克成 徳島大学, 医学部, 教授 (10037400)
出川 雅邦 東北大学, 薬学部, 助手 (50134002)
渡部 烈 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (00057316)
渡辺 民朗 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (40006101)
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研究概要 |
〔研究目的〕 化学発癌の第一のステップは, 生体内における代謝的活性化であることが多くの癌原物質につき明らかにされている. 最近, 癌原物質の代謝的活性化機構の研究が進むにつれて, 実験動物間における発癌性の種差系統差, 性差の原因の多くは, その代謝的活性化の種差にあることを示唆するデータが報告されてきた. それゆえ, 本研究では癌原物質の代謝的活性化の実験動物間およびヒトとの間の差異につき詳細に検討することにより, 実験動物における発癌実験の結果から代謝的活性化の種差をふまえて, ヒトにおける発癌性の程度の外挿に役立つデータを蓄積することを目標とした. 〔研究成果〕 癌原性芳香族炭化水素に, 代謝的活性化を行うチトクロムPー450を始め芳香族アミンを水酸化する酵素, さらにニトロピレン類を代謝する酵素にも, 著しい種差, 性差の存在することが示された. また, これらの活性代謝物をさらに活性化するOーアセチル化酵素, Oー硫酸化酵素の活性にも著しい種差や性差が存在することが明らかにされた. しかしこれらの種差や性差の現れ方が, 個々の癌原物質によってもかなり異なることが明らかにされた. 一方, 癌原物質によるDNA傷害や発癌率にも著しい種差, 性差のあることも示された. 〔考察〕 これらの研究を通じて, 癌原物質の代謝活性化能力には著しい差があり, それが発癌率に関与しているとの確信が強められた. しかし, ヒトにおける発癌の危険性の予測に役立つデータを作るには, より組織的な研究のつみ重ねが必要である, と考えられた.
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