研究概要 |
本年度は多彩な成果が得られた. 梅田はフィブロネクチンやビトロネクチンとは異なる細胞接着因子を胸水中に見出した. 平井(玲)はヒトTGFβを大量精製して抗体を作成し, TGFβ産生機構と活性調節機構の解明を進めた. 西川はヘパリン結合性増殖因子についてヒト由来の腫瘍培養細胞でbFGF活性が, 動物由来でaFGF, さらに移植腫瘍ではいずれもbFGF活性があることを明らかにした. 春日はインスリン, EGF, IGFーIなどの受容体のキナーゼドメインに対する特異的抗体がin vitro系でキナーゼ活性やリガンドによる波うち現象を阻害することを明らかにした. 矢追はフィブロネクチン, ラミニン, フィブリノーゲン, ビトロネクチンの特異的部位にインスリン結合性があることを示し, それが細胞外マトリックス蛋白質の重要な機能であることを示した. 伊藤はリポソームにFITCーdextranを封入し, ラット腎細尿管からNa^+/H^+アンチポーターが再構成されていることを示した. 瀬川はmyc遺伝子が多量に発現した場合には, ras遺伝子と協同せずに初代培養細胞をトランスフォームできることを明らかにした. 桑野はEGF応答変異株MOー5のトランスフォーメーションは, Polyoma middle T抗原, src遺伝子の導入によって顕著に低下することを見出した. 河野は, 増殖刺激によってチロシンリン酸化される41kD, 43kD蛋白は細胞質由来であるが, 抗ホスホチロシン抗体では沈澱されない, 一方, IL-2でセリンリン酸化される65kD蛋白はT, Bリンパ球や単球などに広く存在していることを明らかにした. 平井(雅)はEGF受容体過剰産生細胞NA, Ca9ー22ではEGFによってPI代謝回転が亢進し, Cキナーゼによる80kD蛋白のリン酸化が起こるが, UCVAー1では起こらないことを示した. またこの80kD蛋白を精製した.
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