研究分担者 |
熊谷 勝男 東北大学, 歯学部, 教授 (00005018)
菅村 和夫 東北大学, 医学部, 教授 (20117360)
井原 征治 東海大学, 医学部, 講師 (50096202)
小野 〓 日本大学, 医学部, 教授 (30004675)
瀬川 薫 慶応大学, 医学部, 講師 (30114523)
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研究概要 |
1. 細胞増殖因子により誘導されるチロシンキナーゼの活性化を起点とする増殖シグナルがどの様に細胞内で処理され, 伝達されるか. このとき急速にチロシン燐酸化される蛋白の検出を試み, 春日らは185Kの細胞質蛋白(インスリン,IGFーI,EGF依存), 河野らは41Kと43Kの細胞質蛋白質(EGF,FGF,PDGF依存)を共通因子としい見いだした. これらの意義が今後の課題となる. 秋山らはある細胞骨格蛋白(MAP)2がチロシン燐酸化でその機能が変ること, また癌化能のあるcーerbBー2の産物は常にチロシン燐酸化されていることを見いだした. 上原らはsrc群や他の癌遺伝子による細胞癌化がチロシンキナーゼ活性を特異的に抑制する薬剤ハービマイシンで正常化することを明確にした. 瀬川らはポリオーマウイルスのmT抗原がチロシンキナーゼと会合して細胞癌化に働くとき, その膜結合部位が必要なことを見いだした. 何れも蛋白のチロシン燐酸化がこうした情報の伝達に直接に関っていること, その乱れが細胞の癌化につながることを明らかに示している. 2. 渡辺らは燐酸化チロシン残基を^<125>I化する新らしい検出方法を開発し, これにより癌細胞の表面に燐酸化チロシン蛋白が露出していることを初めて見いだした. 渡辺らによるATL由来細胞表面のILー2受容体(低親和性成分)のチロシン燐酸化の発見に続いて, 菅村らは75Kの高親和性成分もチロシン燐酸化されているらしいことを示した. 一方, 熊谷らはLAK細胞による癌細胞の障害において, LAK細胞は癌細胞変面の燐酸化チロンン残基を含む構造を認識している可能性を見いだした. 何れも興味ある新知見である, 特創的研究を進めうる分野であるので, これらの現象の意義の解析を急ぐ必要がある.
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