研究分担者 |
小野山 靖人 大阪市立大学, 医学部, 教授 (90025544)
高橋 正治 京都大学, 医学部, 助教授 (00026931)
長尾 善光 京都大学, 化学研究所, 助教授 (40027074)
堀 均 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (90119008)
西本 清一 京都大学, 工学部, 助教授 (10115909)
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研究概要 |
61年度迄にこの研究班で確立されたEMT6細胞を用いた一連の検定系(浮遊細胞,Spheroid,in vivoーin vitro assay)によりこれまで開発されてきた増感剤候補物質, 新規に開発された薬剤について検定を実施した. 更にこれもこの班で決定されたSCC VII及びMeth A腫瘍によるin vivo検定をいくつかの薬剤について実施した. 従来の浮遊細胞系で効果有りとされた薬剤もSpheroid系で無効のものが多く, また有効であってもその効果が弱くなるという結果よりin vitroとin vivo 検定系の中間段階としてSpheroid系の有効性が改めて認識された. これらの検定系を用いて浮遊細胞系からin vivoーin vitro assay系迄すべての検定で有効性ありとされた薬剤は今年度数種開発された. その1つは慶応大学グループによる開発されたニトロイミダゾールのヒドロキサム酸誘導体KIH801,802であり, TRT法により求めたそれらの増感率(ER)は300mg/kg投与時各々1.97及び2.14であり今後の急性毒性試験等の結果では有望な薬剤といえる. 一方, ニトロイミダゾールの側鎖にフッ素を導入した京都大学グループのKUー2285はin vitroでER=1.6(1mM),in vivo200mg/kg投与でER=1.7という高い値を呈し, 更にそのLD_<50>/7も2.3g/kgと極めて高い値を呈する所からミソニダゾールをはるかに上まわる薬剤として期待される. 更に東海大グループにより開発されたニトロイミダゾールの側鎖に糖を導入し, その脳血管関門の不透過性から毒性の軽減を計ったRPー170は期待通り脳への移行を殆ど示さず, またERもin vitroで1.60(1mM),in vivo200mg/kg投与で1.51,LD_<50>/14は4.3g/kgと高値を示した. 以上3つの薬剤については更に慢性毒性,生体内分布等, 前臨床試験に至るまでの多くの研究が必要であり, なお今後更に有効な薬剤開発の研究をして行きたい.
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