研究分担者 |
鮫島 啓二郎 城西大学, 薬学部, 教授 (00072413)
五十嵐 一衛 千葉大学, 薬学部, 教授 (60089597)
永津 俊治 名古屋大学, 医学部, 教授 (40064802)
森沢 成司 大阪市立大学, 医学部, 教授 (90046813)
大島 泰郎 東京工業大学, 理学部, 教授 (60167301)
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研究概要 |
有効な制がん剤としてのポリアミン合成阻害剤を開発するため, 2年目の本年度は以下の成果をあげた. 1.ポリアミンの役割:高度好熱菌の分枝ポリアミンであるテトラキス(3ーアミノプロピル)アンモニウムは蛋白合成に強く影響し, 核酸との相互作用が示唆された. (大島). 腫瘍の血管造成(鈴木), Tーリンパ球の増殖(森沢), および活性型ビタミンD_3によるマクロファージの融合(須田)にそれぞれポリアミンが必須の役割を果すことが, ポリアミン合成阻害剤を利用して示された. 2.酵素学的検討:オルニチン脱炭酸酵素(ODC)の調節蛋白質アンチザイムの普遍的存在とODC分解における役割をマウスの腎と脳で確かめ, またそのcDNAを作成して遺伝子レベルでの解析を可能とした(林). 3.がんの病態とポリアミン:高感度で簡易なポリアミン分析法を開発し(永津, 大沢), がん組織および担がん生体におけるポリアミンの質的, 量的偏倚について, 比較生化学的解析をふくめ, 検討を進めた(永津, 松崎, 大橋, 大沢). また, ヒト大腸前がん病変におけるODC活性の動態を調べた(高見). 4.ポリアミン合成阻害剤とその抗腫瘍効果:新規阻害剤として, スペルミジン合成酵素阻害剤を系統的に検索し, 4ーメチルシクロヘキシラミンなどの有効阻害剤を開発, 抗腫瘍効果の検討を開始した(鮫島). メチルチオアデノシン(MTA)ホスホリラーゼ阻害剤としてジフルオロMTAを開発し, これが本酵素活性の強い培養がん細胞の増殖を有効に抑制することをみとめた(井上). また, アデノシルメチオニン脱炭酸酵素, スペルミジン合成酵素, スペルミン合成酵素をいづれも阻害するメチルグリオキサルビス(シクロペンチルアミジノヒドラジン)を開発し, 抗増殖効果を確かめた(中島). その他, 併用療法と転移抑制効果の検討を進め(五十嵐, 大沢), 発がんプロモーターのODC誘導効果を解析した(藤木).
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