研究分担者 |
渡辺 武 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (40028684)
長田 重一 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 部長 (70114428)
鈴木 義昭 基礎生物学研究所, 教授 (50132733)
西郷 薫 九州大学, 医学部, 助教授 (50136454)
遠藤 英也 九州大学, 生体防御医学研究所・生化学, 教授 (40037320)
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研究概要 |
本研究グループは, 癌化に伴って発現性の著しく変化する遺伝子などの発現機構を明らかにすることによって癌細胞の遺伝子発現の異常性の本質にアプローチすることを目的として編成された. 本年の研究成果は次の通りである. 渡辺は免疫グログリン遺伝子上流のオクタマー配列を中心とする領域に結合する分子量7.4万とエンハンサー領域に結合して転写を活性化する9.4万の蛋白質を精製した. 鈴木はフィブロインとセリシン遺伝子について組織特異的あるいは発生段階に特異的な遺伝子転写を示す無細胞転写系を確立しその抽出液よりエンハンサーに結合する成分の分離精製を行っている. 酒井はGSTーP遺伝子の上流にエンハンサーとサイレンサー配列の存在することを示し, 前者はTPAに感受性要素であることを明らかにした. 長田はGーCSF遺伝子の異常に発現しているヒトロ腔がん細胞CHUー2では, そのプロモーターに作用する核内因子が構成的に産生, あるいは活性化されているためであることを示した. 藤井はPー450c遺伝子の薬物による誘導的発現に働くDNA配列XREに特異的に結合する因子は細胞質に存在し, 薬物と結合して初めて核に移行し, DNA結合活性を現すことを明らかにした. 堤はアルドラーゼB遺伝子の上流にある細胞特異的に働くプロモーターに働く因子が肝細胞に存在する3.2万の蛋白質であることを明らかにした. また, 遠藤はdifferential hybridizationによって得られた癌特異的に発現しているcDNAクローンを解析してレトロウィルス様構造をもつものであることを明らかにし, 岡田はサクラマスのintー1遺伝子, 西村は癌化に伴って欠損するtRNA guanine transglycosylase遺伝子のクローンニングを試みている. 西郷はショウジョバエの一群の複眼形成遺伝子omに挿入して様々な奇形を生ずるトランスポゾンtomの挿入機構を検討し, ATAT配列を標的としていることを示した.
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