研究分担者 |
土田 信夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (60089951)
石本 秋稔 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (50073127)
小野 魁 日本大学, 医学部, 教授 (30004675)
安本 茂 神奈川県がんセンター研究所, 室長 (00112342)
伊藤 嘉明 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80004612)
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研究概要 |
がんウイルスやがん遺伝子の発現調節に, エンハンサーが重要な働きをしていると考えられるが, まだその実体が明らかにされていない. 本研究は, ヒト腫瘍と密接に関係しているB型肝炎ウイルス(HBV),パピローマウイルス,EBウイルス,がん遺伝子Cーmycなどのエンハンサー機能の解明を目的としている. 成果は, 下記のごとくである. 1.DNA感染法により, ヒト肝癌培養細胞にHBVーDNAの組換え体を導入し, ウイルス粒子の産生系を格立した. この系を用いて, プレゲノムRNA合成のプロモーター領域を明らかにした(小池). 2.ポリオーマウイルスのエンハンサー領域に変異が存在すると, 未分化細胞F9でも増殖出来ることを明らかにし, エンハンサーに働く転写抑制因子の存在を示した(伊藤). 3.ヒト正常ケラチノサイトに, パピローマウイルス16型DNAをトランスフェクションし, 不死化した2種類の細胞を分離し, ウイルスの発癌遺伝子の発現が, 分化誘導因子で抑制されることを見出した(安本). 4.日本人バーキットリンパ腫由来の細胞を抗ヒト免疫グロブリン処理し, 潜在EBウィルスのゲノムが, 分離活性化する系を確立し, transーacting遺伝子を同定した(小野). 5.モロニーウイルスのLTRに, HTLVー1のエンハンサー領域57bpを導入し, HTLVー1感染細胞で組換えウイルスを高率に増殖させた(石本). 6.MSV LTRのプロモーター/エンハンサーの下流に, ヒトCーHーrasー1のコード領域のみを正方向あるいは逆向きに接続して, トランスフォーム能を検討し, 新しいプロモーターの存在を示唆した(土田). 7.ヒト肝がん(Luc38c,Lu65,Lu99)のcーmyc遺伝子を解析し, 3種類の異常を明らかにした. Luc38cでは転写開始点上流に再編成を, Lu65では約10倍の増幅を, Lu99では, 増幅も再編成もなく, 転写活性の増大のみであった. この増大に関与する因子を同定している(関谷).
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