研究分担者 |
山田 寛保 国立福岡中央病院, 外科, 医員
新本 稔 広島大学, 原医研外科, 助教授 (90034082)
藤田 昌英 大阪大学, 微生物研究所外科, 講師
坂井 保信 都立駒込病院, 化学療法科, 部長
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研究概要 |
SRCAは生着率80%以上の感受性テストであるが, マウスの宿主反応が最大の障碍である. 植え付けた人癌に対して, 好中球, リンパ球, 組織球などが侵潤し, これが肉眼での計測値を誤らせる原因となる. そしてこの事実は本法の開発者であるBogdenらの原法が果して正確な感受性を示しうるかの疑問となった. この点に関して精力的な研究が実施された. まずくり返し研究可能なヌードマウス継代の人癌を用いての組織学的検索が行なわれた. その結果, 原法では4日目までは, ある程度の癌組織が残存しているが, 6日後には殆んど残っていないか, 著明な細胞侵潤が認められた. 臨床材料を用いた時も同様な現象が認められたが, この場合は残存する組織の量が癌の種類, 組織型によってことなる結果を示した. 即ち, 食道癌, 肺癌などの扁平上皮癌では, 間質の少い組織型で癌組織が多く残り, 一方間質の多い扁平上皮癌と腺癌では殆んど残らなかった. そして胃癌, 大腸癌でみると, 腺癌の中では分化型の方が良く残存し, 未分化型は癌組織は殆んど残らなかった. よってBogdenらの原法は非常に限られた条件下のみで応用可能と判断された. 宿主反応を抑制する研究へと進んだ. サイクロフォスファシド(CPM), サイクロスポリン(CYA), ブレジニン(Bred)などの免疫抑制剤の併用である. CPMは前投与しなくてはならない不便さがあるが6日目まで宿主反応を良く抑制した. CYAとBredは同時投与で6日目まで癌組織が保たれ, CYAでは9日目まで延長可能であった. よってこれら3剤の単独投与, 他の抗癌剤との併用時の至適投与量が決定された. SRCAは現時点で臨床応用可能な最も効率の良い感受性テストである. その方法の最大の障碍は克服されたといえよう. 今後は免疫抑制剤を併用しての臨床効果との相関が研究課題となる.
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