研究分担者 |
蒲生 認 慶応義塾大学, 医学部・分子生物学教室, 助手 (90122308)
関口 清俊 藤田学園保健衛生大学, 医学部・生化学教室, 講師 (50187845)
岩森 正男 東京大学, 医学部・第二生化学教室, 助教授 (90110022)
桜井 雅温 埼玉県立がんセンター, 病院化学療法部, 部長 (20025604)
横田 淳 国立がんセンター研究所, ウイルス部, 室長 (10191503)
|
研究概要 |
制限酵素断片長多型を応用した肺癌での染色体の異常を検索し, 小細胞癌に特異的とされていた3pの欠失を肺腺癌6例中5例に認めた. この部に肺癌の発生ないし悪性化にかかわる重要な遺伝子が存在する可能性を示唆している. 一方, 腺癌5例の染色体分析の結果では3p,17qの仮常は夫々1例に認められたのみであった. 小細胞癌にしばしばみられるmycーfamily genesや他臓器の腺癌におけるerbB2の増幅は20例の腺癌・腺偏平上皮癌にに認められなかった. モノクローナル抗体NCCーRASー001を用い免疫組織化学的にrasーp21の発現をみると23腺癌手術例中20例が陽性所見を示した. 一方, NCCーRASー・004を用いた同症例のwestern blottingでは, 22例で腫瘍におけるp21の発現増加が明らかであった. 肺腺癌46手術例の捺印標本での核DNA量の顕微蛍光測光では, 分化度の低下と病期の進行に伴って平均核DNA量の増加とaneuploid stem cell lineの出現頻度の上昇をみた. stage 1Aの症例で5年以内に再発した22例と, 5年以上非担癌生存22例における平均核DNA量とaneuploid stem cell lineの出現頻度を比べると両者は再発例に有意に高かった. 腺癌では酸性糖脂質, GM3,GM2の顕著な減少が特徴であった. 細胞接着因子であるフィブロネクチン(FN)は, 細胞型FN・血漿型FNともに少なくとも3〜4種の異なる分子種から構成されていた. 細胞型FNに存阿するED領域の発現に関しては予期に反して癌胎児性の修飾によるものではなかった. ^<125>IーEGF結合能は腺癌18例の全例に認められたが, 偏平上希癌にみられるレセプターの過剰生産例はなかった. 遺伝子の増幅・再配列も認められなかった. 細胞の極性の保持や分裂などの基本的機能と係わりの深いtubulinの局在を知るために正確な免疫電顕の方法の確立が必須である. しかし解決すべき問題が多々あり, 再現性のあるtubulinの電顕的な極在観察は不成功に終わった.
|