研究分担者 |
石川 隆俊 癌研究所, 実験病理部, 部長 (30085633)
津田 洋幸 名古屋市立大学, 医学部・第一病理学教室, 講師 (10163809)
鈴木 文夫 金沢大学, 薬学部放射薬品化学教室, 助教授 (10019672)
榎本 平 大阪大学, 微生物病研究所発癌遺伝子部門, 助手 (00127622)
横路 謙次郎 広島大学, 原爆放射能医学研究所病理, 教授 (70034618)
|
研究概要 |
C_3B_6F_1マウスに放射線または種々の薬剤により誘発された実験腫瘍197例について, 19のがん遺伝子の発現異常を検討した. DMN,DENによる肝がん67%にrafの発現上昇が, またMCA,αーtocopherol,放射線で生じた肉腫では50%にmycの発現上昇がみられた. MCA肉腫の4/24,αーtocopherol肉腫の4/7にmyc遺伝子の増幅がみられた. IQで誘発されたラット肝がん14/28例に約50倍のrafの発現上昇を見出した. 正常cーrafの発現増強なのか, 変異を伴っているのかを今後解析する. IQ,DEN,2ーAAF,EHENで誘発された肝がんの組織標本では, ras p21蛋白質は検出されなかった. MNNGにより誘発されたラット胃がんにおける増幅遺伝子は, ゲル内reraturation法では検出できなかった. 異物により誘発されたがん遺伝子の検索を目的とし, プラスチックにより誘発された肉腫10例を可移植性株として樹立した. 以上のうち注目すべき新しい知見は肝発がんにおけるrafの転写活性化の関与である. ゴールデンハムスター胎児由来細胞GHEーLを用いてトランスホーミング遺伝子検出系を確立した. GHEーLよりフォーカス形成能が高いサブクローンGHC8とマウスcーmycを導入したGHEMCー1細胞株を得た. X線で誘発した好発がんマウスF1〜F3の腫瘍から新しいがん遺伝子tcoが, またras以外のがん遺伝子1つが検出された. tcoの解析が進行している. 後者を現在クローニングしている. このGHE細胞は正常二倍体である. 継代5ではmyc+ras^<T24>でトランスホームした. 継代50(GHEーL50)では染色体5の1本の欠失と1つの染色体異常を伴っており, ras^<T24>のみでトランスホームした. いずれの場合もトランスホームした細胞4/5例で染色体15が1本欠失していた. 正常二橋体細胞のがん化には染色体異常が重要な役割をはたしていることをin vitroで明らかにした. 肝細胞増殖因子cDNAのクローニングニワトリがんウイルスAsー42のがん遺伝子の解析が進行している.
|