研究概要 |
1)X線自動回折計のソフトウェアの改良 : 遺伝子工学で量産されたタンパク質の結晶には, その規則性,機械的強度等に難点がある落合が多い. このような結晶を相手とするX線回折データ収集の問題に対処するために, 農水省・生物研の回転対陰極型自動回折計の測定ソフトウェアの改良を行い, 24時間で5,700反射の測定を可能とした. 2)インターロイキンー2(ILー2) : 従来単に"板状結晶"として記述していた結晶には, 斜方晶系のものと単斜晶系のものの二種類が存在することが分った. この両者の間の最も顕著な差は, そのb軸の長さの差にある. 今後は, 単斜晶系のものについて解析を進めることとした. この単斜晶系の結晶について本格的な回折データ収集を始めたところ, データ収集中に格子定数が最大2%も変化する現象に悩まされた. 現在, その原因を探るべく, X線照射前と後の結晶の成分のHPLCによる分析を行っている. 3)βーインターフェロン(IFNーβ) : 先に斜方晶系の結晶を得ることに成功したが, この結晶によるX線回折強度データ収集は, 結晶の乱れや, 双晶形成の傾向によって著しい困難に遭遇した. 後に結晶化母液のジオキサン濃度を2〜3%に上げることにより, 六方晶系(空間群P6)の新型結晶を得ることに成功した. この結晶は, 分解能も良く, X線照射にも安定である. 既に, 上記1)のシステムによる"native"回折強度データの収集を終り, 現在, 重原子同型置換体の探索を行っている.
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