研究分担者 |
富川 義朗 山形大学, 工学部, 教授 (80007004)
真辺 忠夫 京都大学, 医学部, 講師 (80127141)
筒井 一成 京都大学, 医学部, 助手 (40180020)
小野 公二 京都大学, 医学部, 助手 (90122407)
西台 武弘 京都大学, 医学部, 講師 (70093292)
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研究概要 |
本年度は, 昨年度に開発した水晶振動子を感温素子とする組織内埋込み式温度測定(測温)システムの改良の研究を行った. 改良点は以下のごとくであるー(i)温度センサの小型化:水晶振動子と超音波振動部をチタンケースに内蔵した温度センサは, 従来の2.5mmφ×20.0mm長から2.0mm×6.0mm長と大幅に小型化された,(ii)超音波結合無線式測温システム:バッテリーとリード線を不要とするこのシステムは昨年度の原理と同様であるが,本年度は検出精度,指向性の改良を目的として,従来の電磁波送信→水晶温度計→超音波受信のシステムから,超音波送信→水晶温度計→超音波受信の方法に変えた. このシステムを用いて,in vitro,in vivo測温実験を行った結果はー(1)水ファントムを10ー60℃に加温し,水銀温度計を対照として比較したところ,読み取り誤差は0.05℃以下,本温度計の系統的誤差を考慮した精度は±0.1℃であった,(2)温度一定の寒天フアントムを用いて,水晶温度センサと検出器の距離による温度検出能を検討した. 距離5〜25cmまで測温した結果, 誤差0.04℃以下,精度±0.1℃であった. 25cmでも10dBの感度があり,理論的には30cmでも検出可能と考えられる,(3)寒天ファントム内での温度センサの指向性を検討した. とくに感度のよい部分が90°幅で対称的に2か所あり, 検出可能範囲は360°であった. 従来の約40°に比較して大幅に改善された,(4)指向性の改善にともない,センサと検出器の間の空気層(3cmφ)または骨(3cm幅)の影響はほとんどなくなった,(5)家兎の肝,腎にセンサを植込み熱電対温度計を対照として測温した結果,誤差は0.05℃以下で,また指向性の改良によって測温がより容易になった,(6)3か月間の植込みによる家兎肝, 腎の組織変化は, センサに接する部分の軽度の線維化のみであった. 以上の結果から, 臨床応用への可能性は十分に期待しうるものと考える.
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