研究概要 |
1.肝細胞増殖因子(HGF)の純化ーーーラット血小板分泌液からモノSカラム,ヘパリン・セファロースカラム HPLCを用いて分子量10万の蛋白を純化した. この蛋白により初代培養肝細胞増殖が10^<-9>gオーダーで促進した. この蛋白(HGF)は還元状態で分子量3万4千と6万9千に分離するヘテロダイマーとして存在する. この様な還元状態 熱 酸処理で失活する. この化学的性質及び線維芽細胞には増殖促進作用のないことからPDGFを含む既知の増殖因子とは明らかに異っている. 現在その構造決定を遺伝子操作により行っている. 2.血小板由来増殖抑制因子(PDGI)とその結合蛋白(MP)の純化ーーー血小板にはHGFの作用を抑制するPDGIがあり,バイオゲルP60でα βに分けられる. このうちβ型はその分子量(2万5千),アミノ酸配列からTGFーβと同定された,一方α型は分子量はβ型に似ているがTGFーβの特異的性質であるNRK細胞のコロニー形成促進能がない. この純化も3つたので構造決定を行っている.さてこれらPDGIは血小板粗抽出液では肝細胞増殖の抑制効果を示さない. しかし抽出液を酸, 熱, 尿素処理するとPDGI活性が出現する. このことはPDGIに結合し増殖抑制活性を中和する蛋白のある事を意味する.そこでこのMPをモノーS,ーQ,セファクリルSー300カラムで精製し分子量4万6千の蛋白を得た.これは最少単位であって本来はその4倍ー6倍体としてPDGIに結合すると思はれる.これらの事実から肝再生時血小板が集合しHGE,PDGIーMP_1が分泌され,後者は更にMPが解離し,G_1期細胞を正と負の両面から増殖を調節していると考えられる.この時分化機能は相反的に調節される. 3.末熟肝細胞の自律増殖と分化ーーーー生後すぐのラット新生存肝細胞は無血清,無ホルモンで自己増殖因子を分泌し増殖する.一週間後には静止し分化しはじめる.この機能を検討中である.
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