研究分担者 |
上平 憲 長崎大学, 医学部, 講師 (80108290)
山田 恭暉 長崎大学, 医学部, 助手 (60145232)
池田 柊一 長崎大学, 医学部, 助手 (10128150)
貞森 直樹 長崎大学, 医学部, 講師 (30039896)
朝長 万左男 長崎大学, 医学部, 助教授 (40100854)
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研究概要 |
HTLVーIキャリア約200例を対象としてHTLVーIプロウイルスDNAのインテグレーション, HTLVーI関連蛋白に対する血清中抗体, リンパ球サブセットの検索を行った. プロウイルスDNAを調べ得た異常リンパ球陽性キャリア46例中23例(50%)では, polycolonal integrationを示した. また, 4例にmonoclonalintegrationを認めたが, この4例はすでに細胞の単クローン性増殖が起こっているが, 末だ悪性増殖能を獲得していないpreーATLと考えられた. HTLVーI関連蛋白に対する血清中抗体は特にpx蛋白抗体に注目したが病態間に特異的な所見は見い出し得なかった. しかし, キャリアにおけるpx抗体陽性者は陰性者に比してHTLVーIプロウイルスのintegrationが検出される例が多い傾向があった. gag env産物に対する抗体も病態間の差より個体差の方が大であった. キャリアの末梢血リンパ球サブセットはOKT8^+,Leu7^+が異常リンパ球陽性キャリアにおいて, 健常人に比し, 有意に低下していた. またOKT3の蛍光強度も同じグループで有意に低下しておりHTLVーI感染によるリンパ球の質的変化を示すものとして注目された. 以上の所見より, 健常人キャリアのなかにも既にpreーATLの状態にある者が存在することが判明し, また, HTLVーI感染によって惹起される異常によってキャリアに多様性が存在することが分かった. 染色体は今回ATL患者24例について報告した. リンパ腫型では数的異常のみか単純な構造異常が目立った. ATL急性型は複雑な染色体異常を示す例が多かった. 特にT cell receptor α geneが局在する14q11異常が12例で認められ, HTLVーIに感染したT細胞がATL細胞へとtransformする際に重要な役割をはたしていると考えられた.
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