研究概要 |
インターフェロンやインターロイキン2の単独投与では効果のない腫瘍アデノカルチノーマ755に対して, インターフェロンαA/D又はβとインターロイキン2の併用投与は, 著しい腫瘍の退縮を示し, 8回以上の投与により担がんマウスはすべて治癒した. しかし, インターフェロンγとインターロイキン2の併用では治癒するマウスはみられなかった. インターフェロンαA/D又はβとインターロイキン2の併用は, コロン38に対しても単独と比べ著しい抗腫瘍効果増強を示し, 治癒するマウスもみられた. B16ーF10メラノーマに対しては, 単独では腫瘍成長に全く影響を与えなかったが, インターフェロンαA/Dとインターロイキン2の併用では腫瘍の退縮がみられた. コロン26やC3H自然発生乳癌に対しても併用により腫瘍成長を著しく抑制した. しかし, ルイス肺がんのように全く無効な腫瘍もあった. このインターフェロンとインターロイキン2の併用による抗腫瘍効果増強は, カラゲナンや抗アシアロGM, 抗体投与によっては抑制されなかった. アデノカルチノーマ755担がんヌードマウス(T細胞欠損)に於ては, 併用により腫瘍の退縮はみられず, 担がんベージュマウス(NK細胞欠損)に於ては, 併用により著しい腫瘍の退縮を示し治癒するマウスもみられた. さらに担がんC57BL/6マウスに併用投与した脾細胞を用いて, YACー1やB16ーF10細胞に対するin vitroでの殺細胞効果を検討したところ, 単独投与後の殺細胞能と同じであった. 脾細胞中リンパ球サブセットについても, 単独と併用で大きな差はみられなかった. 以上のことから併用による抗腫瘍効果増強の作用機序として, T細胞が関与していると思われるが, サブセット等からは立証できなかった. 今後は投与部位や腫瘍中のエフェクター細胞を検索すると共に他の因子の存在についても考慮した研究を進めていきたい.
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