研究概要 |
1.61年度苫小牧測線データの高度追加処理: 61年度苫小牧測線で得たデータの処理は, 相互相関, 共通反射点編集, 初動ミュート, 利得補正, デコンボリューション, 標高補正, 速度解析, CDP重合などの処理を施してフィルター重合断面を得た. しかし, 最表層の火山灰層, 草炭層を考慮した処理は行なわれていないので, バイブロサイス調査の際に得られている屈折波データ, 平行して行なった油圧インパクタによる屈折波データを用いて表層構造を求めて補正し, さらに反射点補正のマイグレーションなどの高度処理の追加を, (株)地球科学総合研究所の協力を得て行なった. 屈折波データよりの表層構造としては, P波速度800m/Sの表層が, 平均約20mの厚さであるが, 観測点No140, No240付近で断層的に, それぞれ約60m, 約80mの厚さで, 1.8〜2.0km/Sの層の上に存在すると求められた. この表層の静補正の後, 速度再解析, フィルタリング, マイグレーションなどの処理の結果, 構造断面が改良され, 円滑な解析が可能となった. しかし, 前年度の処理で得された地下構造の特徴は, 大きな変更の必要は認められなかった. すなわち, 約5ヶの反射面が認められ, 全体的に東に向かって深くなっている;測線中央部では反射が弱く, 連続的でない反射面がある;最深の反射面は西端では約5km, 東端では約9kmである. 2.地質調査:測線に沿って地質調査が行なわれたが, 60年度長沼測線で得れた逆断層は地表ではほとんど認められなかった. このことは, 本研究の方法による調査が, 潜在構造の発見に有効であることを示した. 3.長周期微動による調査: 長周期微動群列観測により, レーリー波の基本モード成分の位相速度をF-Kスペクトル法で求め, インバース法によりS波速度構造を推定した. 得られた構造はバイブロサイス反射法によるものと調和的である.
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